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神様の気まぐれなその御手に掬いあげられて

2019.06.07

部署の新人歓迎会だった。健康診断の結果をネタにサイコロステーキと肉巻きおにぎりを食べさせてもらえないという美味しい流れをもらった。美味しいってなんだろうね。あとは29才と一緒にずっと悪口と下ネタ言ってた。こういうとこね。

 

不毛な議論、何度も聞いてる。最後の数分。何度聞いても何度も涙してしまう。なんでだろう。どこか、必死に隠そうとしてる感情が思わず溢れた瞬間みたいな感じがする。泥酔したおしずの乱入、aikoの下ネタ(通常運転ながらも)という面白ポイントも用意しながらも、冒頭から頑なに「ラジオで最初に本音を話したかった」と言うその姿勢。散々リスナーに茶化されながら、最後の数分でリスナーからの祝福の言葉に思わず感情が揺さぶられてしまう場面。必死に誤魔化そうとするその声色。aikoの「がんばれ」と言う声。揺れる声。山ちゃんの好きな「深夜高速」になぞらえて、「山ちゃん、生きていてよかったと思える夜は今日ですか?」という問いかけに対して「いや、生きていてよかったと思える夜はたくさんあります。みなさんのおかげで。」と返す声。 

「結婚は実はぼくずっと悩んでて。というのもラジオではそういうのとは逆の人生をずっと話してて。そういう人たちをずっと妬んできてて。それで、そういう幸せになるのが、あんま良くないのかかなあ…と思って。なんか幸せになったらリスナーのみんなが俺のラジオなんか聞く意味なくなって、楽しくなくなるかなあと、ずっと思ってて。なんか、結婚することが、ごめんなさい。怖くて。」

「でも、あるとき、リスナーが店開いたって言って。飯食いに行って、そのリスナーに、いつかこういうとこに、好きな人できて連れてきて。でも、そんなんしたら、俺が幸せになったら、裏切られたってなるもんなぁって。言ったら、そのリスナーが」

「いや、ボス。僕らみんな、ボスが幸せになる日に、おめでとうっていう準備できてますって。僕ら別に、ボスの不幸だけでラジオ聞いてるわけじゃないんで。気にしないで、好きな人ができたら、自分のとこ来て、飯食ってくださいっつって。」

「あの、自分って多分、こう。人に対しての恨みつらみとか、そういうのでしか笑いが取れないんじゃないかっていう、恐怖みたいなのがあったけど、今日みたいにリスナーが節目の時に、そんなことないと。と。そんなんで俺たちはここについてきてるじゃないぞ。と言ってくれたおかげで。その声が聞こえたおかげで、好きな人ができた時に、結婚しようという選択肢ができました。」

 

一つのしがらみから人が解き放たれて、幸福へと向かう瞬間が閉じ込められている。なんて素晴らしいんだろう。幸せを望むことの当たり前な素晴らしさ。

今日も会社では、「なんで山ちゃんなんかと」とか「いつか気づいて別れるでしょ」とかいう声が聞こえてくるけど。おれは知ってる。こんなにも勇気を出して、幸せになろうとしてる人はいないと。こんなにも誰かを想ってる人はいないと。反論することはない。それは知ってる人だけ知っていればいいことだから。