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神様の気まぐれなその御手に掬いあげられて

2021.11.27(邂逅)

朝起きて、昨日買ったパンを食べた。たしかにそんなには美味しくなかった。洗濯したりしてから家を出た。めちゃくちゃ良い天気。でもニットだけで外に出たことを後悔するくらいにはもうしっかり寒かった。完全にコートの季節。東京藝大大学院映像研究科の坂元裕二ゼミ生による朗読作品発表会に行った。

場所はみなとみらいにほど近い、西洋風の建造物が立ち並ぶ馬車道。とは言え、ネオンと居酒屋が立ち並ぶ関内から歩いて10分足らずの場所で、そんなところにこんな小洒落た景色が、と思ってしまう。そんな中にある校舎の視聴覚室が会場。普段は授業で使っているようで、ミニシアターをさらにこじんまりとさせた感じというとわかりやすい。傾斜のついた座席が8×10列ほどあり、半分に間引いて観客が入っているような感じ。受付をして会場に入ると、正面にあるちょっとしたステージに坂元裕二氏が座っており学生たちと談笑をしている。次第にぽつぽつと入ってくる観客たちに向けた雑談が始まりだした。取材や舞台挨拶やちょっとしたドキュメンタリーからは繊細そうで寡黙そうな人、みたいな一面が見られたけど、今日の様子を見ると本当にユーモラスで人と話すのが好きそうだなぁと思った。その雑談の内容があまりにも良すぎた。でも、その前に7人のゼミ生と坂元さんによる脚本演出の朗読劇について。基本は2人の会話からなる話で、坂元さんが言うところの「脚本の読み合わせのようなもの」をイメージしたらしい。内容はどれも面白くてシチュエーションや設定はバラバラながらも、どれも「噛み合わなさ」みたいなコミュニケーションの齟齬から生まれるものをテーマになっているような気がした。そこに過剰なドラマがなくても人が2人いて言葉を発するだけで、もうそれはドラマになる。という証明。坂元裕二のイズムは受け継ぎつつ、当たり前だけど単なる模倣に終わっていないところがやっぱり凄いと思った。いずれ、今日目にした名前をどこかの脚本クレジットで見ることになるだろうなという気がする。

自分は単純に開催概要を読み違えてて、昼の回と夕の回で全く別の演目をやると勝手に勘違いをしていて、同内容の両方の回を予約してしまったのでした。これでチケット取れなかった人とかいたらまじで申し訳ないな、と思ったけど当日キャンセルするのも申し訳ないので両方参加しました。学生の方からも「2回来てくださったんですね…!ありがとうございます!」と言われても申し訳なさが勝つ。以下私と坂元裕二氏の一瞬の邂逅です。

「いや、開演前に一笑いとって会場をあっためるつもりが昼の回で僕えらいスベっちゃって。だからもっと和やかに話しますね。これ、昼も来てた人とかいるのかな?」

(会場に挙手を求められたので自分が手を挙げる)

「君はどうして2回来ようと思ったの(笑)」。