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神様の気まぐれなその御手に掬いあげられて

2021.09.19(そこから下が新しい僕としました)

起きてからカーテンを開けたら天気が良かったので、毛布とタオルケットとシーツを洗濯して干した。何ができてなくても洗濯がちゃんとできていればしっかりした人間だと思える。絶対にやめたほうがいい…!と思いながらもUber朝マックを頼んでしまった。絶対やめたほうがよかったけどマックグリドルは今日も美味しくてアイスコーヒーと一番合った。食べたながら録画したツギクル芸人グランプリを見た。つくづく自分はコントにしろ漫才にしろ既存のフォーマットや枠組みを壊していく人たちが好きなんだなぁということを奇しくも自覚させられた。そういう意味ではやっぱりダイヤモンドがすごく好きだった。優勝した金の国は圧倒的。全組見てても圧倒的に"人である"ということが前提にあって良かった。コントは「なんでそうなる?」と一度思ってまうとずっとそこが引っかかってノイズになる。いくら突飛な設定や展開でもこういう人たちならそうなるかもと納得できればめちゃくちゃ笑える。そうなってないものを見ちゃうとほんと笑えないんだなあと考えたりした。配信チケットを買ったニューヨークの単独ライブ『Natural』も見た。めちゃくちゃ笑った。ラストの10分尺漫才の後半部分がめちゃくちゃ印象に残った。「炎上ドラマ」のネタ。エレノア・ポートリアットの『軽い男じゃないのよ』を思い出してしまう強烈な毒気。叩きまくって今年のM-1にかける未来がちょっとだけ見てみたかったりする。眠くなってちょっと寝た。部屋にいるとすぐ眠くなる。起きて「急に具合が悪くなる」を読んだ。ほんと、自分は一日部屋にいるだけで不健康になっていく感じがする。これが何日も続いたら耐えられなそう。案の定、夕方過ぎに耐えられなくなってコンビニに行った。うどんを茹でて食べた。録画してたEテレの『私の欠片と、東京の断片』を見た。

見てから決めようと思ってたけど、『東京の生活史』をすぐに取り置き予約した。出来れば好きな書店に行って買いたかったけどこの反響じゃ売り切れとかも十分考えられるので念のため。すぐに読みたいというよりも、一生置いておきたいと思える本になる気がする。聞き手に、自分がとても信頼している作り手のいつか床子さんが名を連ねていて驚いた。4年前に、いつか床子さんは文学フリマに『任意の夜n』というインタビュー本を出版していて、たまたまTwitterでその本の内容を見て「これはどうしても読みたい」と思った。自分は小さい頃から今の今まで車の窓から高速道路の下に並ぶ家から洩れる明かりを見るのが好きだった。好きだけど同時に猛烈に切なくなったりしてた。なんとなく、自分が一生出会うこともない人の生活が確かにそこにあるというイメージが車窓から見える明かりに変換されていたのだと思う。だからこの本のコンセプト(以下)を見た時に自分のための本だと思った。

「ひとりで過ごす夜のすべては冒険である」 そう仮定して、『任意の夜n』という本を作りました。

この夜のどこかに本当に、誰かひとりでいるのか。どうしても確かめたくて、夜の出来事をひたすら聞いて回ったインタビュー集です。

できるだけ本人が話した通りに、語尾や口癖も残しています。脱線や冗長からも、その人のや、その場の空気を感じていただければと思います。

インタビュアーは記名の方も匿名の方もいらっしゃいます。夜空を見上げたら、知っている星も知らない星もあるだろうという具合です。

「寝る前にぴったりの話などはいりません。夜を越えたというだけでも、信じがたい、ものすごいことなので、私はそんなものすごいことが本当に実在するのか現地へ飛んだ調査隊です」というスタンスで聞いています。

夜をひとりで超えたということはシンプルに、あなたが自分の力で燃える、ひとつの独立した星であったということで、この本を手に取るあなたは誰なんだろうなあと、そればかりを思っています。

この夜のどこかにいる人へ。 この夜のどこかにいる人の話を。

でも、それを見つけた時には文学フリマは終了していたので、一生読めないのか…と落胆していたら、いつか床子さんの通販ページで買えるということを知り即購入。でもなかなか届かなかったところで一通のメールが来た。サイトのメール連携が上手くできていなくて注文履歴に気付かないまま時間が経ってしまった。本は送ったけれど返金にも応じますという内容だった。いやいや、そんな必要はありませんということと、恐縮ながら前述した自分がこの本を読みたいと思ったきっかけを書いて送ったらとても丁寧な返信をもらった。こういう人がこういう本を作っているんだなあと思った。だからこそ、『東京の生活史』の聞き手の中にその名前を見つけたときにまたそれなら間違いないと、この本を自分は持っておきたいと思わされた。ただ本を買うというよりも、人から本を買っているという感覚は忘れたくないなと思った。