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神様の気まぐれなその御手に掬いあげられて

2021.08.19(紫の線が一本、忘れずに)

覚悟を決めた。リュックのなかに荷物をまとめた今だってまだ迷ってる。自分が正しいなんて思えない。むしろ間違ってる側に近い。すでによろよろの足場は、液晶を流れるニュースに毎日崩されてもう立っているのもやっと。こんな中で、としか思えなくなる。そう。こんな中で、だ。こんな中なんだ。でもこんな中だからこそ、やっぱりおれは行く方を選んだ。何度払い戻しの注意書きを読み、申し込みフォームを書きかけたか。Twitterから離れると言っておきながら、「フジロック」と検索をかけて厳しい言葉を見てはやっぱりやめたほうがいいのか、と思った。昨日は出演するSIRUPとマヒトの、今日はゴッチの書いた文章を読んだ。もっともっとわからなくなった。行かない人が間違ってるわけないし、でも行く人や出る人が間違ってるわけもない。だから、自分はこの胸の痛さを忘れないようにしようと思った。おれだって批判を受けるうちの一人だ。もう意義だの意味だの、御託を並べる必要もない。これは、おれが好きですることだ。音楽の未来が、とか自分の大切な場所が、とかそんなことは二の次だ。側から見れば自分は"こんな中で"フェスに行く人間のひとりだ。おれが自分で行くことを選んだ。それは批判されて然るべきだし、されるべき。行くことに覚悟を決めたんじゃない。批判の目に晒される覚悟が決まった。

それでも、吸い込む苗場の空気は、緑の中で音が鳴るあの振動は、流れる川の冷たさは、やっぱり楽しみたい。ちゃんと笑いたいし楽しみたい。それもひとつの戦い方だと思う。そんなこと言ったって、何浮かれて甘いこと言ってんだよ、って思われるだろう。確かにそう思う。自分でもそう思う。だけど、自分は自分が生きてく上で絶対にそっちを選びたい。