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神様の気まぐれなその御手に掬いあげられて

えいがのはなし その4

2016年も好きな映画がたくさん見れますよう。早速1月末〜2月にかけて観たいものばかり。賞レースも始まったのでノミネート作品は残らず地方のシネコンでもかけて欲しいところ。

 

■ブリッジ・オブ・スパイ (2016)

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いやぁ…粋だ。実話ともなると美談として押し付けがましくなってもおかしくない話をこんなにタイトに、かつ豊かに見せられるとは。特に唸ったのは視点の演出。懐疑的なシーンではほとんど鏡を使って別角度から人物を映す描写があった気がする。それがラストで自分の中に確固たる「正しいこと」を最後まで持ち続けた2人を真正面から映すカットがあって。それがとても清々しくて、間違いないなと思った。追い打ちをかけるように、その後でもう一度鏡を使った場面があったのだけど、前半での鏡の使い方との違いにまたじんわりとやられた。

 

 

■ピンクとグレー (2016)

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なめてたら見事にやられました。ネタバレめちゃくちゃしてしまっているので、こちらから!https://filmarks.com/review/13350289

 

 

アメリカン・ビューティー (1999)

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誰でも手元にないもばかりを欲しがって枠を壊そうとするのに、結局最後には手元にある「家族」という枠に戻ろうとする。もしくは出ることすらできない。その居心地の悪さにある種依存しているような。あぁ、たしかにこれは「homely」だ。自分もレクターの言葉を理解できるときが来る。だってだれもが終わってしまうのだから。

 

 

苦役列車 (2012)

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なにからなにまで逆モテキ。でも、こっちのほうが断然好き。居酒屋でサブカル女を徹底的に貶す森山未來にはもっとやれ!って思ったけど、ラストは何もそこまでやらんでも…と思ってしまった。

 

 

アイズ・ワイド・シャット (1999)

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んー到底すべてを読み取ることはできなかったけど、こんなにも引き込まれるとは。159分という尺にも構えて見たけど蓋を開けてみればちっとも退屈じゃなかった。ひとつだけ、稚拙かもしれないけど自分なりの解釈として「虹」というキーワード、もしくは色(クリスマスツリーの電飾)が現実と夢の境界や、もしくは越境の誘惑の象徴として描かれているんじゃないかなぁと深読みしてみた。ただ、そう考えてしまうとラストのあのシーンさえも現実ではないということになる。ファック。

 

 

■ジャージー・ボーイズ (2014)

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フランキーはメリーゴーランドに乗っているんだろう。端から見たら煌びやかで幸福に見えるけど、回り始めたメリーゴーランドはもう止まれない。同乗者は次々降りていくし、歪に速度を増していくメリーゴーランドを何故彼は決して降りなかったんだろう。
その答えがラストシーンにあった。そうか。メリーゴーランドはずっと時計の針とは逆に回っていたのか。でも、何故だろう。とても幸福に見えるラストも彼が永久に止まらないメリーゴーランドに囚われているようにも見える。

 

 

ライフ・オブ・パイ トラと漂流した227日 (2012)

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え、これは相当すごいと思うのだけど…。完全に最後のある仕掛け(と言うほど仰々しくなはないけれど)にやられた。単なるサバイバルもので、アーティスティックな映像美だけを楽しむ映画ではない。自分は、この最後に明かされるある事実にこそ映画を見る意味みたいなものを感じた。

 

 

■ビフォア・サンライズ (1995)

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んー、ともすればなんてことのない会話のみで1本の映画がこんなにも綺麗に成り立っているとは…。僕の2016年の目標は「自分で心の扉を開く」なのですが、まさに心の扉を開いた、もしくは開きかけた二人の魔法の時間を見せられたらもう!もう!まさしく魔法が解けたかのように朝日に照らされる二人のいた場所を映していくカットの切なさったらない。タイムマシーンの口説き文句は実際使ったらどうなるかな…。

 

 

ミスティック・リバー (2003)

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その昔誰かが言ってた。「愛という憎悪」と。ラスト付近までなんか安易だなぁって気持ちも拭いきれなかったのだけど全てを支配しているのは女たちなのかもしれないと思ったらゾッとした。同時に、事件自体の動機も安易なんかではなく、空虚なんだと思えてきて、それが一番恐ろしい。

 

 

■はじまりのみち (2013)

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日本の「ニューシネマパラダイス」と言ってもいいと思う。例えば何かの仕事に就いて、自分がその仕事をやらなければならない意味を見つけられず、相応の評価もされずにどこかやり甲斐を感じられない人がもしいるとして、きっと見えないところで誰かがあなたの関わったその仕事に感謝しているはずだと伝えたい。パソコンに向かって数字を打ち込んでいるあなた。あなたのおかげで助かっている人が必ずいる。だから、どうかその仕事に就いたはじめてのあの時を忘れないでください。僕もそんな気持ちでがんばります。