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神様の気まぐれなその御手に掬いあげられて

タイ料理屋さんでふと聞こえてきた隣の会話

客もまばらなタイ料理屋さん。自分以外には2組の客でテーブルが埋まっている。中年の夫婦と女性2人。そのほかにはタイ人の青年の店員。

 

女性A(以下A)「それでさ、カラサワの部屋のロフトって普通の部屋のロフトよりも狭いんだって。その狭さを見てほしいって言われたの。そんなの部屋に行くってことじゃん。」

「私その日めちゃくちゃ体調悪かったのね。葛西臨海公園でもなんもしないで座って話してるだけだったからさ、それでもいいかと思ってカラサワの家行くことになったの。」

 

A「で、カラサワの家ついたんだけど、駐車場に車停めて話してるだけなの。カラサワも全然降りようとしないし。まぁ楽しかったからいいんだけどさ。でももう23時過ぎたから帰ろうかってなってさ、送ってもらったのね。」

「さっき私具合悪かったって言ったじゃん。送ってもらってる途中にそのピークがきてさ。めっちゃ吐きそうだったの。」

「で、もうやばかったから流石にカラサワに言おうと思ってさ、」

「カラサワ、わたし吐きそう」

「って言ったとこでさ、わたし吐いちゃったの」

 

女性B(以下B)「えー。うけるー。」

 

A「もう完全にビチャッって。もうやっちゃったの」

B「うけるんだけどー。」

 

A「カラサワも完全にびっくりしちゃってさ、でもコンビニとめて水とか色々買ってきてくれたのね」

「ウェットティッシュ買って来ようとしたらしいんだけどさ、なかったみたいでボディーシート買ってきてんの。あのスースーするやつ。」

「吐く瞬間に車だけは汚しちゃいけないと思って、なんとか全部自分にかかるようにしたの。だから車のシートは汚れてなくてさ」

「いやーあと5分くらいで着くところだったのにさー。間に合わなかったよね。」

B「え、どのへん?」

A「あのバーミヤンすぎたとこ」

B「ほんとにもうちょっとじゃん!」

 

A「でもなんかもうそんな感じだったからさ、色々吹っ切れちゃってさ。カラサワ車で送ってくれるって言ったんだけど、また吐いちゃうからは歩いて帰るって言ってさ。そしたらカラサワ歩いて送ってくれたのね。」

「カラサワも、これでもう何でもいじれるな。とか言って重くない感じにしてくれてさ。」

「久しぶりに会って、いい思い出できたよ。とか言ってんの。」

 

B「えー、なにそれー。うれるんだけどー。なんかもう泣けてきたんだけど。なにこれ。」

A「は?なんで泣いてんの。うけるんだけど。泣く話じゃないから」

B「いやーなんでだろ。なんか良いなって思ってさー。」

A「まぁねー。もう笑うしかないよね。」

B「それで?その日はもう解散?」

A「うん。それでさーその場はそんな感じだったから、カラサワも引いたりしてないのかなぁと思ったんだけど、わかんないじゃん?ただ、優しいだけかもしれないし。」

 

A「何日かおいて、また遊びに行こうとして連絡取るんだけどさ、カラサワ優柔不断だから全然予定決まらないの。」

「こっちが日程決めないと決めきれない人でさ、まじなんなんだよって感じなんだけどさ」

「まぁ何だかんだでこないだ桜見に行ったのね。」

 

A「で、桜見て歩いてたらさ、なんか段々距離近くなってきてさ、カラサワ手繋いできたの。」

B「うけるんだけどー。」

A「なんかそれが自然すぎてさ、わたし無言で笑っちゃってさ。カラサワもこっち見て笑ってんの。」

「もう若くないのにこんなことしてて、恥ずかしいから。って言ったのね。そしたらさあ。カラサワ、ちゅーしてきたの。」

B「えー。うけるんだけどー。」

A「でもわたしすごい冷静になってさ、ちゅーして顔上げたら普通に一軒家あるの。住宅沿いの桜通りだからさ」

「カラサワ、人の家の前だよ。って言って」

「でさ、その後も歩いて桜見て車戻って話したりしたんだけどさ、カラサワ全然付き合おうとか言わないの」

「まじでなんなのって思って。え?なんなの?って。」

「そしたらカラサワ、わかってるよ。ちょっとなんて言うか考えさせて。って言って車の外で一服してんの」

「で、車戻ってきて好きって言われてさ。え、いつから?って言ったら、この前会った時から。って言われてさ」

「あんなことあったのに、好きになるのかよって思ってさ。なんかすごい嬉しかったんだよね」

B「うけるんだけどー。いやうけるっていったらあれだけど、なんかもう。うけるわ。」

 

B「でもさ、なんかAとカラサワはなんかしっくりくる。今まで付き合ってた人とかよりなんかねー。カラサワはなんかしっくりくるんだよね。」

A「わたしもさ、今まで会った人とかってなんかすごいポイント制みたいな感じで考えてたんだよ。この香水つけてる、マイナス。お酒つよい、プラス。みたいなさ。」

A「でもね、カラサワは完璧じゃないけど、自然なカラサワだったんだよ」

B「いやー、もう結婚しなよ」

A「正直カラサワと結婚とかまだわかんないし現実味ないけどさ、」

「なんかね、これだけは思ってることがあって。わたしカラサワって苗字になりたいっておもってるんだよね。」

 

 

タイ料理やでふと聞こえてきた女性2人の会話があまりに胸をついたのでここに書き残しときました。このあと映画「愛がなんだ」を見たんですけど、映画以上に「愛がなんだ」って感じでした。

普通に考えたらこんなことしてるの気持ち悪いですよね。でもなんかこの話を誰かに伝えたかったんですよね。記憶を頼りに書き起こしたので、ニュアンスだけ残してます。