anomeno

神様の気まぐれなその御手に掬いあげられて

真白いシーツが飛んでいかないように

想像してみる。ひとっこひとりいない猥雑な新宿歌舞伎町や渋谷センター街を台風だけが通り過ぎていく様を。なんだかそれは少し美しく思えてしまうのは不謹慎だろうか。通り過ぎた台風は代わりに阿呆らしい陽射しを残していった。台風が過ぎ去った朝にここ数日出来なかった洗濯をする。シーツとふとんカバー、枕カバーなんかもここぞとばかりに干す。心地いい風で揺れるのをカーテンの向こうから眺める。

街に出ると、いつもよりも人で溢れている。たった一日家に閉じ込められた鬱憤を晴らすように嵐の過ぎ去った街を人が歩く。スターバックスはいつもより長い行列を作り、車は渋滞にクラクションを鳴らす。なんだか浅はかで馬鹿らしいと思いつつもそれはとても人間らしいような気がして嫌いになれない。かくいう自分も映画館に向かって歩いている。たった一日。たった一日、厚い雲が強い風とたくさんの雨を連れてきて通り過ぎただけなのに、当たり前は剥がれるんだね。

今日の深夜には先のエントリで書いたGEZAN主催の全感覚祭に向かう。これは千葉で行われるイベントの振替ではない。それに関してはまたしてもマヒトゥザピーポーのコラムを読んでみてほしい。この先いくら台風が来ようが地震が来ようが楽しいことや幸せなことを諦めなくたっていいんだよね。傲慢で図々しくても生き生き生きいていきたいじゃん?