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神様の気まぐれなその御手に掬いあげられて

2022.11.11〜12(感じあえればすてきなことだよ)

11日

午前中からライアン・クーグラーブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー』の座席を予約していたので池袋のグランドシネマサンシャインに行った。内容について多くは語らないけど、自分はもうMCUと距離を置いたほうがいいのかもしれない。映画の出来云々よりも、この感じを自分が楽しめないことの方に問題というか原因がある気がする。でもね。これは比喩だけど、プレゼントの包装用紙に拘ったりしてくれるのはありがたいし、渡し方も気を遣ってくれたりするのは良いんだけど、中身が欠けていたりしたら元も子もないと自分は思ってしまう。という感じに少し落ち込んでしまったので、そのまま帰るつもりだったけど、新海誠の『すずめの戸締まり』も見て帰ることにした。映画を2本ほぼ連続で見たら脳が停止する気がしたけど、カフェインで誤魔化した。『すずめの戸締まり』はすごく好きだった。映画の中にいろんな矛盾があるのがいい。人間の醜いところと、その反対の部分があるのが好き。隣の中学生が最初ずっとソワソワしてたのに、後半はじっと見入ってたのが印象的だった。スクリーンから出ると数人の友達と肩を組んで帰って行って、こういう風に映画を見に行くことが遊びのひとつになってるのは良いよなと思った。脳が停止しなかった代わりに胃が終わったので夜ご飯を食べる気にならずにそのまま家に帰った。

母親から姉の第二子が産まれたことを告げるLINEが届いた。良かった。2022年11月11日に生まれるなんて超センスあるな〜と思った。姪っ子なので2歳になる甥も含めて本気で可愛がりたい。甥っ子はお母さんが入院していないことをまだ理解できていなくて日々泣き叫んでいるらしい。その様子の動画が届いて電車の中でずっと聞いていた。

 

12日

長く続いた休みももうあと数えるほどになってることから目を逸らしてダラダラしたかったけど、焦りが増すだけなので昨日と同じ作戦で映画館の座席を確保してヒューマントラストシネマ有楽町でオリヴィア・ワイルド『ドント・ウォーリー・ダーリン』を見た。オリヴィア・ワイルドの2作目ということと、フローレンス・ピューが出るということくらいしか事前情報を入れてなかったので、1秒先にどんなことが起こるかわからない超スリリングな映画に感じた。実際そういう映画だった。終始不穏な空気は感じるけどその正体は掴めない。掴めた時には…のやつ。映画のスタート地点とゴール地点にもかなりの距離があってそういう映画が好きだなと思った。もう少し言語化すると、こういう映画だと思ってたのにまさかこんな映画になっちゃった!とか、こんな映画だったのにまさか最後にこんなシーンが見れるなんて!みたいな感じ。設定は斬新じゃないように見せかけて随所に見たことないものがあるのも良い。

終わって友達と合流して日比谷野音に行った。OGRE YOU ASSHOLED.A.N.のツーマン。開演前、転換中のDJが超かっこよかった。オウガはフジロック以来に見た。フジロックの深夜のステージが超攻め攻めの1時間3曲セットだったのだけど、深夜でちょっと眠かったのもあって、「今日のオウガ、まじでやばかったよね?」と再三確認するくらいには幻のような記憶だったけど今日それが幻じゃないことがわかった。なんであんな音がバンドで出せるんだまじで。年末のワンマンも楽しみ。D.A.N.はバンドセットでのライブが今日がラスト。あんまりその事実に現実味を感じていなかったけど、ライブが進むごとにこんなにかっこいいものが観れなくなるんだということを強く感じた。アンコールでわりと初期のTime Machineをさらっとやってさらっと帰って行った。ずるいけどかっこいい。D.A.N.みたいなバンドは当たり前だけど代えのきかない存在だ。だって切ないのに踊れるなんて凄い。踊ってることすら切なく思える。友達とおでんを食べて帰った。最近の自分は口を開けば「おでんが食べたい」と言う。最近のドラマの話をしてるつもりが『空から降る一億の星』とか『薔薇のない花屋』とか『イノセント・ラブ』とか『素直になれなくて』みたいなあの頃のやばドラマのWikiをあさる時間になった。楽しかった。

 

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2022.11.10(鋼の偶像を撃ち砕く)

部屋にいてもどうにも考え事をしてしまって、録画をためているドラマも観れないし、ひたすら悶々としてしまう。寝たら高い確率で嫌な夢を見てしまう。夢の中の自分は物を書くことを仕事にようとしていて、そんなもんに未来はない。お前の書いてるものなんて大したことはない。と友達に強く言われていた。返す言葉なく迷っている自分に、夢の中の架空の恋人のような人は「諦めるくらいなら私別れてパパ活するから」という絶妙に嫌なことを言っていた。夢の中の自分は最後の最後までどうにも決断をつけられないままだった。それで起きた。おれの脳はどうかしてる。なんでこんな最悪な話作れるんだ。そんな具合なので今日は早々に部屋を飛び出た。

お昼に目黒のケラクスパイスカレーでカレーを食べた。キーマスープ出汁カレーとラムキーマサグカレーとシーフードカレー(サワラの切り身が入ってた!)の3種のあいがけを食べた。めちゃめちゃ美味しくてそれだけでかなり元気になった。

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時間もあったのでもう一度、今泉力哉の『窓辺にて』を見たいと思って品川の映画館まで歩いた。目黒の住宅街は馬鹿みたいにでかい家があって面白い。Tジョイ品川のまわりは入り組みすぎてて何が何だかわからなくて、喫茶店的なものを探してウロウロしてるうちにいい時間になってしまった。『窓辺にて』は2回見てかなり輪郭がくっきりしたような気がするけど、それでも言葉に出来ないことばかりだった。意識して見ると窓越しのシーンが多いのに気付いた。窓のこちら側とあちら側みたいな分け方が結構ある。映画のスクリーンだって窓みたいだよなあと思ったりした。

終わって恵比寿リキッドルームTHE NOVEMBERSのライブを観に行った。ライブを見るたびに世界一かっこいいバンドはTHE NOVEMBERSだと思う。これは主観抜きにそうだと思う。良いバンドはいっぱいいても、かっこいいバンドは彼らだと強く思う。その日はオールタイムベスト的なセットリストだったのもあって、最後のフロントマンの小林さんのMCで「このバンドは友達から始まったバンドで、自分の青春のような存在で、上手くいかない時も、楽しい時もあったけど、終わらないバンドだと思っていた」という大意のことを話していて、強烈に嫌な予感が走った。バンドの解散ライブはチャットモンチーで経験しているけれど、解散や活動休止を発表する場に居合わせた経験はない。そんなことを告げられるような気がして心臓が冷たくなっていくのを感じた。結果的に言葉は「振り返ってみれば、過去の自分たちはずっとその時にかっこいいと思える曲をやっていて、今日もそうだった。終わらないバンドじゃなくて、続いていくバンドとして、世界一かっこいいバンドでいたい」と続いたので自分の予感は杞憂に終わった。でも、こういう瞬間がいつか来るんだということを強く思った。決して売れなくてもいいからいつまでも続けてほしいなんてのは、傲慢で独り善がりの願望だ。自分はバンドが15年経った今でもめちゃくちゃ売れてほしいと思うし、1000人キャパのライブハウスじゃなくて、アリーナやもっと言えばドームで彼らのライブが観たいと、観れなきゃおかしいとずっと思ってる。

帰り道、駅のホームにピザの入ったでかい箱に横向きのスマホを乗せてドラマを見ている人がいた。

 

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