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神様の気まぐれなその御手に掬いあげられて

2022.12.02〜04(好きなもので散らかるくらいがいい)

12月2日

翌日が友人の結婚式だったので前乗りするために休みを取った。本当は休みを取らなくても行ける距離だけど、遠方から別の友達も来るし少しでも会ってる時間を長くしたかったから休んだ。午前中にゆっくり起きてクリーニングに出していたスーツを受け取ってそのまま大宮に向かった。ひたすら京浜東北線にゆられていれば神奈川から埼玉まで行ける。道中、『ガーディアンズオブザギャラクシー:ホリデースペシャル』をDisney+で見た。自分が見たかったMCUの楽しさが全て詰まっていたような気がした。

大宮駅で友達2人と合流。絶対に何か忘れ物をしていると思っていたけど、案の定ベルトを忘れていることに気付いて駅の中で買った。旅行者支援割引で普段は絶対選ばない価格帯のホテルを予約していたので早々にチェックインした。ホテルの中でやることもないので駅周辺をぶらぶらしたけど、やっぱりやることはなくてスタバでくだを巻き、今日の夜何を食べたいかベスト3をそれぞれ発表して一番票を集めたお寿司をどこで食べるかを決めた。明らかに敷居が高そうな店構えに一瞬躊躇したものの、おれたちはもう大人だと覚悟を決めて入店。予約していなかったけどカウンターに座れた。おまかせのコースで食べたお寿司は全部美味しかった。特に鯛が信じられないくらい美味しくて、コース終わった後に全員おかわりした。最後を何のネタで締めるかそれぞれ悩んで注文した。おれはつぶ貝。カウンターの両脇には明らかに同伴みたいな人と、お茶割りを頼む常連のおじさんがいた。おなかいっぱいになったので夜の街を話しながら歩いた。

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時間を決めて最上階の温泉に入った。しっかり目のサウナと12月の冷たい風に包まれる外気浴でばちばちにととのう。次の日の朝は割と早かったので少し話してそれぞれの部屋に帰った。ダブルベッドは1人で使うにはやっぱりでかい。

 

 

12月3日

ホテルをチェックアウトしてタクシーで式場へ。久々に会う友達もいた。みんなそれぞれ別の場所で暮らして、家族を持っていたりそうじゃなかったりして、でも話すことや口調は全然昔と変わっていなかった。結婚はそれを選んだ2人にとって間違いなくしあわせなことだし、結婚式はいろんな人の想いの結晶のような場に思えてすごく好き。披露宴会場で多くの人の視線の先にいる友達を見て少し不思議な気持ちにもなる。昔から一緒にいた友達が結婚をするんだということも不思議に思えるし、相手の方は今まで育ててくれてありがとう。これからはこの人としあわせな家庭を築く、と両親に向けた手紙を読んでいること、当たり前だけど自分にはあまりに実感のないことだ。近くにいた人が少しだけ遠くなる。何も変わらないはずなのに何か別のものになる、みたいな、ざらっとした想いが心のどこかにある。「私もいつかこんな風に人を愛せるだろうか/幸せの意味を誰かとわかり合えるだろうか」という歌詞が浮かぶ。そうなったらいいし、そうならなくてもいいかもしれない。結婚式で聞く知らない人のスピーチや手紙は十中八九泣いてしまうし、花嫁の手紙も大体泣く。この日もそうだった。中座中に花婿の友達にふざけてLINEを送ったら返信がきて、こいつまじかと思った。変わってなかった。

お昼すぎ、式を終えて駅に戻る。二次会はなかったけれど主役の友達と合流するまで時間を潰す。最近はお酒を飲んでご飯を食べるとすぐに胃が痛くなる。寄る年波には勝てない、みたいな話を待ちながら友人たちとする。なんなら全員眠くて仕方がなかった。夕方、式後のいろいろを終えた主役の友達と合流してご飯を食べに行った。やっぱり何も変わってなくて、何度もしてきた話とか、最近の話とかをして笑った。疲れるくらい笑った。いつも通りの雰囲気で解散して駅で別れた。また電車に揺られて帰る。一人で歩く帰り道がやっぱり少しだけ不思議な感覚に思えた。

 

 

12月4日

朝起きて友達とPodcastを録った。ご飯を食べた。引き出物のバウムクーヘンもひとかけらだけ食べた。日比谷に行ってデヴィッド・ロウリー『グリーン・ナイト』を見た。絶対寝るしもう寝てもいいくらいの覚悟で見に行ったけど全然寝なかった。『A GHOST STORY』に続いて時間感覚が歪められる映画だったし、何よりやっぱりこの監督の映像感覚が好きだと思った。表参道に移動してブルーノートでカネコアヤノのライブを見た。人生初ブルーノートは緊張する。あんなの緊張させにきてるでしょ。座席は臨時席と名付けられたステージに背を向けるカウンターの前の席だった。1ミリもゆとりがないギチギチの横並び席で、座るのにも隣のカップルにかなり気を遣わなきゃいけないし、前後を振り向くのも難しくて、しんどいなあと思って開演までじっとしながらビールを飲んでいた。もう片側の隣に後からお客さんが一人来て同じように窮屈そうにしていた。少ししてその人が「どうやって見たらいいかわかりませんね、これ。」と話しかけてくれて「全然ゆとりないですよね。」と返した。暗黙の感じでお互い向きを変えるタイミングを合わせることできた。ブルーノートってこんな感じなんですね、とかカネコアヤノのライブ結構来るんですか、とか最近何のライブ行きましたか、とかこういう質問って答えに困りますよね、とかそんな感じの話をした。名前も知らないあなたの自然に話しかけてくれる優しさは、確かな自分にとっての精神的な安心と救いになりました。届かないけどありがとう。ライブもとても良かった。「旅行」「やさしい生活」が初めて聴けた。続く「追憶」を終えて、サポートの2人が捌けながら弾き語りで「わたしたちへ」を掻き鳴らすカネコアヤノがひたすらカッコよかった。帰りは退場する客の波に飲まれて、隣の人にまともな感謝も告げられずに会場を出た。週末が終わってまた生活が続く。そうこうしてるうちに一年は終わる。

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