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神様の気まぐれなその御手に掬いあげられて

2022.01.14(好きな本屋さん)

 

私の好きな本屋さんがなくなってしまう。本当に信じられない、とても受け止め難い。

冗談抜きで世界で一番好きな本屋さんだった。それは人が営んでいるお店だと思ったから。人の意志のあるところだと思ったから。本の並べ方ひとつにしたって、何の隣に何を置くのか。それをどう置くのか。どんなふうに紹介するのか。どうしたって人が営んでいたら溢れててしまう人の意思がHIBIYA COTTAGEには感じられて、それが何より好きだった。同じ本を買うにしたって、他の本屋さんじゃなくてここで買いたいと思わせられるようなそんな場所だった。日比谷のTOHOやシャンテ、有楽町で映画を見た後には、別に目当ての本がなくたって自然と足が向いてしまうような、そんな場所だった。

自分が置いておいて欲しいと思う本が然るべき場所にちゃんと置いてあって、なおかつその隣には自分が読んだことのない、手を取りたくなる本が置いてあるって、そんな場所があるってことはこんなに幸せなことはないと思うんです。とてもセンシティブな話かもしれないけど、コロナウイルスのワクチンの危険性みたいなものについて説く本があるとして、それをどう置くのかって本当にその店を営んでいる人の意思でしかないと思う。自分だったらレジ前にそういう本のスペースをでかでかと取っている本屋さんよりもそうでない本屋さんで買い物をしたい。なぜなら自分にだって買う側としての意志があるしそれには自覚的でいたいから。

しかし、なぜかそういう場所から順に無くなっていってるような気がしてならない。今回の件がどういう理由なのかは全くわからない。でも自分が好んで足を運んでいた場所がひとつなくなるという、それだけが確かな事実としてある。辛いな。めちゃくちゃ悲しい。いくらどんなに品揃えのいい本屋さんがあったって代えられない。かけがえのない場所がひとつなくなる。