anomeno

神様の気まぐれなその御手に掬いあげられて

2021.11.11(二人がかけだしていく場面さ)

昨夜、高速バスに乗って金沢を離れた。もう当分バスはいいや。身体の痛さがやばい。昔シンプソンズでホーマーがバスに乗りすぎて足の感覚がない!って言って自分の足殴ってたら後ろの席の足だったシーンを思い出した。でも結露した車窓見るの久しぶりだなぁとふと思ったりもした。朝方、窓についたカーテンをチラッと開けて東中野駅の前を通る景色をバスの中から見た。平日の早朝なので、窓の外は生活が始まっていて不思議な気持ちになった。横浜駅に着いてバスを降りて、いつも出勤する道とは逆に電車に乗って部屋に帰った。洗濯をしたり、少しご飯を食べたりして一息ついたら猛烈に眠くなってベッドに入った。まだ10時半くらい。目を覚ましたら薄暗くなっていて時計を見たら16時になっていた。どんだけ疲れてたんだ。久しぶりにめっちゃ寝た実感が身体に残る。配信チケットを買っていたM-1準々決勝の大阪1日目を見る。アーカイブ期間が丸一日しかないので早めに見ないとやばい。さすがに準々ともあって、どの組もむちゃくちゃ仕上がってる感がある。見取り図とかはアホみたいにウケてるのにそれでもまだ温存してる感があってすごい。ももの勢いがすごくて全然決勝とか行きそうな感じがする。容姿を使ったネタだから、というところで言うと非常に危ういラインだと思っていて自分は今は普通に笑えているけど、ちょっと踏み外すと全然ナシになってしまう感じもする。これは見た人とめっちゃ話したい。他にも、三遊間、ニゲルベ、デルマパンゲ、エンペラー、滝音ニッポンの社長が良かったです。準々決勝のニッポンの社長のネタや、3回戦の銀兵衛、ダイヤモンドのネタを見て、"見えること/見えないこと"による笑いみたいなことを考える。自分は見えなくてもいい、ツッコまなくていい、みたいな観点の漫才に今かなり揺さぶられていて面白いと思っている気がする。半数とは言わずそういうお笑いを見せてくれるコンビが1組、2組くらい決勝に上がったら面白い気がする。

支度をして部屋を出た。リキッドルームTHE NOVEMBERSのライブを見に行った。今日のライブは11年前にリリースされたMisstopiaとparaphiliaのアニバーサリーライブだった。過去作の再現ライブとか観客による投票で決まるセットリストのライブとか、自分はちょっとノれない感じがしていて、それはノスタルジー至上主義みたいなものを感じてしまうからだと思う。もちろん、今の肉体で鳴らすことで過去曲の違う側面が浮かび上がるみたいなことを、ちゃんとやってくれると信頼しているバンドなので絶対に行きたいと思ってチケットをとった。11年前、当時高校生で地元の小さいライブハウスでこのアルバムのリリースツアーに行ったことを思い出す。当時と比べて自分も彼らも大きく変わった。00年代後半から10年代初頭というと、少し暗めのギターロックをするバンドはあろうことか"鬱ロック"みたいなしょうもないコピーをつけられていた記憶がある。メディアもリスナーもそんな風に消費していたバンドがいくつもあった覚えがある。THE NOVEMBERSも大きな括りで言えばそんな中にいたように思う。観客は終始棒立ちでライブを見て無言のライブが続く、みたいなそんなライブが多かった。そういえば、11年前のリリースツアーのときにもライブがはじまってステージに出てきた小林氏が客席に向かって無表情で中指を立てていたことを思い出した。尖ってんな。そんな11年前を経て、多くのバンドが淘汰された今、一つの場所に留まらず耕してきた畑を都度焼き払いながら、新たな場所を探して行った彼らの今。自分はそういうバンドが好きだと改めて思った。変わらないことをずっとやるよりも、変わり続けてることがなにより変わらないことだと思うから。過去曲の間に放り込まれる新しい曲でフロアがそれぞれのリズムで揺れている景色が見えた。これが一番良いと思った。11年前よりも、いまの方が絶対に良い。願わくば、もっと売れてくれ、アリーナとかドームとかわかりやすくキャパの多いところでライブをしてくれと思う。ノスタルジーに浸らない未来を思う気持ちで会場を出て電車に乗った。

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