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神様の気まぐれなその御手に掬いあげられて

2021.11.10(思いつき金沢紀行)

平日の連休とか旅行するにはうってつけだよなあ、という考えがぼんやり思い浮かんだ。いや、行けばいいじゃん。と思って2日前くらいに金沢行きの深夜バスを予約した。なぜか今まで、行ったら楽しいをスルーしてきた。ひとりだからとかそんなことを理由にしていた気がする。そんなことは本当にどうでもいい。なぜ金沢なのか、というのにもまったく理由がない。金沢というと思い出すのは就活の時期。自分はインターンに参加した企業を受けるために金沢に来たことがあって、前泊してホテルに泊まり翌日に面接とグループワークを終えて手応えを感じながら秋に戻って帰路につこうとした。新潟行きの新幹線に乗り富山あたりまできたところで、前日に来ていた着替え類一式を全てロッカーに忘れたことを思い出した。途中で新幹線を降りて金沢駅に戻った。泣く泣くATMからお金を下ろしてチケットを買い直したのが強く記憶に残っている。こんなことばっかりやってるなおれは。

何の意味もないけれど、絶対に事前に計画も立てなければ調べもしないというテーマを立てた。iPhoneのメモには「近江町市場」という一行だけが残されている。昨日の21時半ごろ横浜駅を出発するバスに乗った。さすがにど平日ということもあってか自分も含めて4人くらい、2シートを陣取って座った。時間が経ってもなかなかベストな体勢が見つからずに気付いたら時計は日を跨いでいた。フジロックに行くときに、深夜の高速SAの空気って好き。と思ったので今回も楽しみにしてたけど、どこもトラックが多いわそんなに時間はないわであんまり楽しめなかった。でもどこにでもあるお土産とか交通情報の映像を見るのはやっぱり好き。厚木の男子トイレは小便器の真後ろにベンチとテレビがある異常な作りだった。2ヶ所目のところは寝ぼけていてあんまり覚えてないし、3ヶ所目は寝てて降りてすらいない。

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朝の8時ごろ、金沢駅に到着した。しとしととはとても形容できない擬音で雨が打ち付けている。そりゃちゃんと計画してれば天気予報も見て雨の日は避けてでしょう。でももう関係ないので駅を出てとりあえず近江町市場に行く。傘をさしていても濡れてしまうくらい強い雨に打たながら歩く。屋根のついた市場に逃げ込むも全体的にシャッターの閉まっている率が高い。ここで初めて調べたら水曜日は全体的に稼働していない店が多いらしい。ほらこうなる。旅行するなら絶対に計画した方がいい。これは絶対。それでもちらほら店は空いていて活気の良い声が聞こえる。閉まっている店もあるとはいえ、それでも迷ってしまうくらいにはお店はあるけどなんとなくで一件のお寿司屋さんに入った。寿司なんてみんな美味しいのレベルを余裕で飛び越える美味しさだった。綺麗なのどぐろを見てください。

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お寿司をちょっとつまんだ後に、百万石うどん(カレー)を食べた。甘くて美味しかった。

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まだ雨がざーざー降っているのでどっかで休みたいなと思って近くの喫茶店に入った。グアテマラの苦さが雨に濡れた身に沁みる。まだ10時とか、乗代雄介の『旅する練習』を読みながら何も考えずに過ごす。知らない土地の初めて入るお店じゃないみたいな居心地だった。

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人も多くなってきたので喫茶店を出た。まだ雨が降っている。さーてどこに行こう、と思って金沢海みらい図書館に向かった。強くなる雨に打たれながらバス停に向かった。15分ほどしてバスを降りて四角い箱のような建築が特徴的な海みらい図書館に着いた。

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扉の前まで行くと「本日閉館」の四文字。雄叫びをあげそうになるのを必死に堪えながら来た道を戻る。本当に事前の計画は大事。せめて行こうとしているところがやっているかどうかは調べた方がいい。茫然自失しながら駅に帰る。まるで駅がベースキャンプのよう。まだお腹は空かなかったので、またバスに乗り鈴木大拙館に向かった。金沢で生まれた仏教哲学者の鈴木大拙にちなんだ施設である。本来であれば、浅いコンクリートプールに水を張った静寂の水面に、思索空間と呼ばれる部屋が浮かんでいるのだけど、ご存知の通り一日中止まない雨が降っていたので水面は雨粒で跳ね返っている。それでも雨の音がひたすら反響する静まり返った空間に佇むと、鈴木大拙に無計画な自分を受け入れろ、と言われてるように思えて自然と落ち着いた。バスの中に傘を忘れたことを思い出した。

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またバスに乗り駅に戻った。身体を落ち着けたいと思って検索して温泉施設に行った。『源泉掛け流し日帰り温泉しあわせの湯』なんて素敵な名前でしょう。温度ごとに分かれた源泉の湯船があったり焼き石のサウナにプラスして冷凍サウナまである。すごーい。凝り固まった身体を熱いお湯につけた。この瞬間が一番幸せかもしれない。サウナ内のテレビでワイドショーが流れていたこと以外はかんぺき。結局2時間以上入ってしまった。

まーだ雨が降っていたけどもう慣れたもので、傘をさしてまたバスに乗って駅に戻った。バス停に向かう途中にどっかの会社の事務所が窓の外から見えた。パソコンを前に働いている人がいて、二度と見れない景色だと思った。途中でハントンライスを食べた。バカの食べ物じゃん!と思ったけど当たり前に美味しかったです。

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最後に駅でお土産とかを買った。しかしバスの時間までまだまだ時間がある、と思ってスタバでこれを書いている。なんだかよくわからない一日だった。楽しかったけどいつもと変わらなかったような気もする。最後に、地下道を歩いてるときに見つけたどう考えても何する場所かわからないところの写真をあげますね。

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