anomeno

神様の気まぐれなその御手に掬いあげられて

2021.10.19(街のプレイリストの上で)

雨がパラパラ降っていた。まだまだ余裕を持って部屋を出てしまう。同じ部署の先輩は5個くらい年齢が上で、今まで自分は仕事ができる人の像ってあんまりなかったんだけど、この人はそうだと思える人だった。愛想があるのに無駄がないというか、おかしいところにまったくの躊躇いなく突っ込める。これ無駄な時間だなあというところには全く参加しない。そういうのを目にしたときに自分は憧れたとは別に畏怖みたいな感情を抱いてしまう。すごいと思うことと自分がこうなりたいかは別だなと思う。帰り道に買い物をしたかったので途中の駅で降りた。朝も昼もろくなもの食べてなかったので自ずと天下一品の看板が見えた瞬間に吸い込まれてしまった。めっちゃ久しぶりに食べたけどバカ美味いなあれは。地元には家から遠く離れた場所に一店舗しかなくて、友達とライブに行った帰りにはほとんど必ずと言っていいほど行って「うますぎだろ…」と呟いてた気がする。なんなら都内に遊びに来た時ですら天一行ってた時もある。これは憧れなんだな。

昨日、dodoのtownという曲を聴いて自分が思う『街』のプレイリストを作りたいと思った。この『街』という表記には自分の中で明確に「町」とは違う定義があったりする。自分にとっては生まれたところが町で、それ以外は『街』なのだ。なぜか。「町」は定住する場所で『街』は極めて流動的なものであるような気がするから。でも自分は『街』という(味気ない言い方をすれば)構造がとても好きでもある。どこからともなく集まった人たちの暮らしの音が聞こえる、いわば集合体としての『街』のこと。そこで交差する温もりもあれば、反対に息を潜める闇のようなものもある。その両方が等しく同じ存在にあるのが『街』だと自分は思う。だからそんな『街』を、『街』に息づくものを感じる曲を集めたプレイリストを作った。これが我ながらとってもとっても良いのです。改めて書き直すと「引越し」や「街を離れる」というキーワードが頻出して、やっぱり引越しにかなり引っ張られてるんだなぁ自分と気付かされたりもした。"シティポップ"がなんとなくオシャレなものというアホみたいな認識と風潮すら消え失せて、というかそもそも"都市"というものに対する憧れだって自分の中にはもうない。そこには利便があるだけ。そんなからっぽの"シティ"よりも"TOWN"にある生活を歌った方が自分にとってはよっぽど意味のあることだと思った。ということで是非とも聴いてみたくだせえ。

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