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神様の気まぐれなその御手に掬いあげられて

2021.09.27(時間が過ぎるって凄いことなの)

昨夜、『急に具合が悪くなる』を読み終わって完全に打ちのめされて眠れなくなった。ラジオを聞いてたら一層寝れなくなって半ば諦めてるうちに意識が消えた。なんとか起きて会社に行った。引っ越しの手続きで住民票とか転出届を発行しに役所に行くために午後休みにしたけど、aikoのライブに行くためってのが本当の理由。一応役所には行った。待ってる間に大前粟生『おもろい以外いらんねん』を読んでた。距離感や話者のシフト、時制のジャンプに違和感があるのにすらすら読める。文章で読む関西弁になぜか苦手意識があってそれを理由に読むのを止めてしまった小説が過去にいくつかある。耳で聞いたら自然なのに方言的なものが文章になっていると不自然に思ってしまうからなのかな。でも今回はまったく違和感なく読めてる。めちゃくちゃ眠くなったけど、そうこうしてライブ会場に向かった。東京ガーデンシアター。僻地も僻地。会場は超ゴージャスな武道館って感じ。結構なキャパなのにステージとの距離感がとても近い。

それでですよ。aikoのライブですよ。もうさ、ちょっとどうしましょう。完全にあてられてる。毒を飲んだとか、顔面に一発ストレート食らったとかそんな体験。"知ってしまったらもう戻れない"ってわりとaikoの詞の根底にもあるイメージだと思ってたけどそれを自分がダイレクトに食らってしまった。なんつーかもう凄すぎません?会場出て友達とすぐ「ちょっとしんどすぎない?」って笑ってしまった。なんでなんだろって考えてみると、距離感がバグってるというかとんでもないマクロとミクロが共存してる空間すぎてまじで意味わかんなかったんだよね。ライブが始まって3曲くらい終わった後の最初のMCで「ほんま、誰も一人にさせへんで。一人一人と話すからな。」って言ってて、それだけでもなんつーこと言うんだって泣いちゃったんだけど、冗談じゃないくらいまじでそれをやってるんですよ。aikoのライブにおけるコールアンドレスポンスの特殊さってのは割と有名な話で、それも初体験の自分にとってはほんと爆笑しちゃうくらい最高だったんだけど、MC中に客席にいる親子を見て「おっきくなったなぁ。お菓子あげよか。昔はカップルでライブ来てくれてて結婚して今はお子さんと来てくれてるんですよ。嬉しいよなあ。」と言ったり「兄弟?顔似てるなあ。マスクしててもわかるで。」と言ってみたり、ライブ前に募集した質問に答えていくコーナーとかもまじで爆笑しすぎて意味わかんない。そう。まじで1対1(に思えてしまう)関係を作り上げてるんですよ。それがミクロの部分。マクロは言わずもがなライブのクオリティとエンターティンメント性。まぁそりゃなんつったってaikoだからね。セットリストの構成とかも絶妙な場所にヒットシングルを置きつつレアな曲も忍ばせるそれ。地味にこんなの見たことないと思ったのが曲終わりに必ず「〜と、〜と、〜という曲を聞いていただきました。ありがとうございました。」って注釈をつけるところ。これかなり親切。やった曲に関してはそりゃ青空とハニーメモリーがなかったとか言い出したらキリがないし、もしもキラキラやmilkをやってたとしたら今日の自分は完全にその瞬間で吹き飛んでいたのでむしろありがたい。いや、ほんとに、完全に好きじゃん…という気持ちになってる。やばい。曰くaikoの髪の毛が付いているというカルビーのポテトチップスを終演後に貰ってそれをトートバッグに入れて電車に揺られているいま。