anomeno

神様の気まぐれなその御手に掬いあげられて

2021.05.23(かけそばとざるそばと生活)

平日は仕事を終えて帰ってきてごはんを食べてお風呂に入って一息つくとすぐに寝てしまう。見たいテレビや映画や読みたい本もめちゃくちゃあるのにすぐ寝る。日を跨いで目を覚ましては、冴えた目がまた眠りにつくまでラジオを聴いたりしてとんでもなく深い時間になったりするルーティーンになってしまった。なので週末の金曜日の夜もいっぱい寝たはずなのに土曜日の午前中は微睡のなかにいた。

午後に髪を切りに行った。近所に好きなバンドの好きな曲名が店名の美容室があってここ一年くらい通っている。そんな勝手な運命的な理由と、個人でやっているお店なので他のお客さんと一緒にならないことも相まってとても居心地がいい。お店の本棚にはサ道があったりするのもとても良い。自分の直感は間違ってなかったことをあの一冊が裏付けてくれた。大体話題はコロナでどこも行けませんよねぇ、とか今年の夏フェスはどうなるんでしょうねぇ、とか最近サウナ行きましたか?とかそんな感じ。その人は昨年にオリンピック(サッカーの準決勝)のチケットをゲットしていたみたいで、「やっぱり行けるなら行きたいんですよね。なんか今や大きな声では言えないんですけど。」と言っていた。そうだよなあ。そういう人ももちろんいるんだよなあ、とか思った。なんというか、別に普通に生きてる人は誰も悪くないんだよなあとか思ったりした。

自分はいつも切る直前になって予約しようとするから、すでに予約が埋まっていてうまいこと行かないみたいなことになりがちなので帰り際に2ヶ月先の予約をした。7月の末の土曜日はどうですか?と聞くと、「あー、いや、大丈夫です。12時からでどうですか?」と言われたので「え、予定重なってそうなら別の日でも大丈夫ですよ」と返すと「いや、この日がチケット取ってたオリンピックの日なんですよね。でも、大丈夫です」と返された。自分はやっぱり断固いまやるべきじゃない気持ちなのは変わりないけど、なんか少しだけそういうことを楽しみにしてる人の居場所みたいなものを少しだけ奪ってるような気持ちになった。でも別に誰も悪くないんだよなあ。

そんな少しだけ複雑な「だれも悪くない」という気持ちからカネコアヤノ『よすが』のインタビュー記事を思い出した。

アルバムもとても好きだしこの記事もとても良かった。なんか携帯の画面とか見たくなくなって、一駅先まで1時間くらいかけて歩いた。昔なんとなく見かけた花屋で花を買おうと思った。部屋に緑が欲しいとか思いつつ結局ずっと買えていなくて、そういうとこだぞ、と思いながら歩きながらいろいろ花屋を巡った。なかなか、これ!ってものに巡り会えなかったけど最後に入ったお店で黄色いカリメロを買った。さりげないけど存在感があって良い。帰って肝心の花瓶がないことに気づいた。そういうとこだぞ、と思いながらクナイプのバスソルトの空き瓶に活けた。部屋に貼っていたドラえもんとおばけミッフィーのポスターをダイソーの額縁に入れたりした。生活をしてる感じがした。

 

日曜日、朝からTOEICを受験しに行った。元々は会社の課題のために受けていたつもりが、勉強したらちゃんとスコアが上がる感じにハマってしまってめちゃくちゃ個人的に受けている。別にハイスコアなわけではない。2時間半集中しきって脳みそが疲れ切ったので日本橋で蕎麦を食べた。数日前にインスタでHomecomingsの福富さんが蕎麦屋でざる蕎麦とかけ蕎麦を一人で頼んだら店員さんに褒められた話がすごく好きでやってみたくなった。

 
 
 
View this post on Instagram
 
 
 

A post shared by 福富 優樹 (@fukutomimurray)

www.instagram.com

注文したら「えぇ!あったかいのと冷たいの両方で大丈夫ですか?」と明らかに怪訝な反応をされて逃げたくなった。運ばれてくるときも、まず一人の店員さんが「お待たせしましたー」とかけそばを持ってきた後ろにざるそばを持った店員さんが「え、ざるもここ?!」と明らかに動揺した様子で運んできていたのでもっと逃げたくなった。でもざるそばとかけそばは、どっちも全然違くてどっちも美味しかった。コレド室町で芋屋金次郎の揚げたて芋けんぴを買った。実家にでも送るかあと思って普通の芋けんぴも買って帰った。

f:id:moire_xxx:20210523230419j:image

2021.05.16(ここだけ世界がズレてる)

土曜日

連休明けてようやく一週間乗り切ったのにまだ一週間しか経ってないのかあ、とぼんやり絶望しながら起きぬけにアメトーークのキャバクラボーイ芸人を見た。オズワルド伊藤が超良い立ち回りをしていて最高でした。千鳥クセスゴはAマッソの誕生日サプライズのネタで大笑いしたのとA.B.C-Zの河合くんの木村兄さんモノマネが最高だった。TriangleのBメロ(Live Ver.)は特に木村兄さんの譜割りフリーダムが炸裂して超良いのよ。たしか「検察側の罪人」公開タイミングでアフター6ジャンクションに出演したときに、宇多丸さんからライブ時のアレンジについて聞かれていて「だってそのまま歌ってもつまらないじゃないですか。ちゃんと生で歌ってるって思われたいし」的なこと(ニュアンスなので間違ってるかも)を自己言及していたのにすごく感動した記憶がある。またSMAPを求めている自分がいる。(1年に6回くらいくる)

午後、友達(のような人)とテアトル新宿に松居大悟『くれなずめ』を観に行った。映画館前で待ち合わせしていたのだけど、直前に舞台挨拶回があったみたいでぞろぞろ出てくるカメラマンたちに囲まれて気まずくなった。少ししたら友達が来た。やたら人がいるなあと思ってたら入口脇のマイクロバスに出演者陣が乗り込む瞬間で一瞬だけスーツを着た若葉竜也さんが見えた。背が高くて顔が小さいことだけ認識できた。友達(のような人)にハライチのターンの名刺を自慢されたので敵リスナーなのに取りに行きやがって、と釘を刺しておいた。意地でもQRコードを読み取らなかったけどめちゃくちゃ後悔してる。映画館は満員だった。満員の映画館はやっぱり好きだと思った。映画中に漏れる笑い声は今となってはやっぱり愛おしい。今泉力哉監督の『あの頃』とか、ホモソーシャルなコミュニティを描いた映画ってなんか最近体感で多く感じるんだけど、ただ続いてるだけで変わらず昔からあったかな?「くれなずめ」はそういうものへ俯瞰が前田敦子の視点だけっていうのがちょっと辛かったりした。終盤の展開もちょっとウェット過ぎた気もするけれど、藤原季節が途中で見せる演技にむちゃくちゃ胸がザワザワしてしまった。「なんかお菓子ばっかりもらっちゃって。お菓子もらいに来た人みたいに見えないすか?」って台詞がどんな場所で、どんな声でどんな表情で発せられるかだけでちょっと泣いてしまった。言葉だけ見たらなんてことないのに。藤原季節主演の「佐々木インマイマイン」はまだ見れてないのでレンタル始まったらまじですぐ見よう。

映画が終わって喫茶店でコーヒーとドーナツを食べた。友達(のような人)は俳優女優の顔の識別が極端に出来ないらしく(大まかにフォルダが4つくらいしかないとのこと) 、画像を見せてその人の名前を答えられるか、のゲームをしたり、芸能人に会ったらなんで話しかけるかのシュミレーションをしたりした。友達は高円寺の公園でアルピーの平子っちと会って話したみたいで死ぬほど悔しかった。おれだって学生のときからANNを聞いてたこととか、いまだに何周もPodcastを聞いてることとか伝えたい。けど実際本人を目の前にしたらそんなこと話せない。ていうかどんな人に会ったって絶対に話しかけられやしない。友達がスケートボードのウィールが欲しいと言ったのでムラサキスポーツのスケートフロアに一緒に行った。自分もmid90sとかスケートキッチンとか行き止まりの世界に生まれてとかスケートの映画見るたびやってみてぇとか思うけど勇気が出なくて出来ない。友達と一緒に店員さんのどのウィールがいいか、ベアリングが軽いとどうなるか、みたいな説明を聞いていた。仕事柄ベアリングとかに触れることが多いので、そっちの耳でふんふんと聞いていると、「彼氏さんはやられないんですか?」と聞かれた。一瞬、あ。と思ったけど「いやぁやってみたいんですけどねぇ」と答えた。別にここで「いや、付き合ってるわけじゃないんですよ!」とか言ってもどうしようもないしね。まぁそういう風に思う。そうか。その後も「これは結構力いる作業なんで彼氏さんやってあげてくださいね」とか「ぜひ彼氏さんも一緒にはじめましょう!」とか言われたけど空っぽの微笑みで返すことしか出来なかった。隣で自分よりも少し若い男の子が多分「スケボー始めたいんですけど」みたいなかんじで入店してきていて店員さんに説明を受けているのを聞いていた。自分はどこにいるのかよくわからなくなった。

外に出るとまだうっすら暗いくらいなのにもう19時を過ぎていた。「これは16時でしょ」とか言いながらお店に駆け込んでご飯を食べた。歌舞伎町は夜になると全然人がいたし居酒屋のキャッチもいた。閉じているTOHO新宿の前は立ち尽くしている人がいっぱいいて「なにこれ?」と友達に聞くと「誰でもいいから探してるんでしょ」と言った。ここだけ世界が変わってないみたいだった。

電車に乗って帰りながら、電車乗ってると急にネットに繋がらなくなる時ってあるよねって話から、山手線に乗りながらどこでそれが起きるか確かめたけどそういう時に限って問題なく繋がった。でも確かにどっかで世界との接続が遮断される時があるのよ。

 

部屋に帰ってお風呂に入ったらいつのまにか寝て深夜に起きてしまった。無性に目が冴えていて、Twitterのタイムラインに流れてきた短編映画を見た。短編映画祭にエントリーされた1本。とても食らってしまった。例えば仕事における上下関係が意識的/無意識的に依らず人に与える有害性みたいなことはあるけれど、それ以前に人と人との関係においていまだにこういうことが罷り通ってるんだろうなぁという悪夢。それがピントのズレだったりカメラの距離感だったりで効果的に示されてるのがより拍車をかける。自分はなにより音の効果による嫌悪感が凄かったな。自分が部屋を出た後の中にいる人の笑い声とかってすごく不安になる。それがこういう状況だとより強調されると想像すると辛い。自分は加害者にならない、という意識は持てても、じゃあこの部屋に後から入ってくる2人の立場なら何が出来る?何が言える?ということを考えた。15分の短編なのに60分くらいに感じてしまった。下のリンクから無料で観れるのでぜひ。

 

日曜日

お昼前にはなんとか起きた。とはいえ何も予定はない。録画をためた「コントが始まる」4話と5話を見た。5話はもうすごいところまで切り込んでいて見た後はため息しかでなかった。(良い意味) 夢の終わりという側面もそうだけど、自分にとっては「好き」の限界についての話みたいに感じてしまった。4話にミートソースが出てきたので食べたくなって買い物に行ってミートソースを作った。余裕だった。早めにご飯を食べたらまた眠りについてしまった。もう梅雨が迫っているので春眠暁をなんとやらはもう通じない。