anomeno

神様の気まぐれなその御手に掬いあげられて

2018年ベストトラック25

 

 

さてさて。平成最後の年だなんだと言われた2018年もあと1週間じゃないですか。アプリ版の「ドラゴンクエストモンスターズ/テリーのワンダーランド」を始めてしまったせいで、音楽も映画もベスト記事を書き損なうところでした。めっちゃ楽しい。29歳と毎日一緒にやってます。

 

さてさて。今年聴いた音楽に関して。まずは昨年からさらにヒップホップにどっぷりになっていった気がする。それってどういう気持ちの変化なんだろうと改めて考えてみると、バンドの音楽聴くの疲れた。みたいなところが正直なところかもしれません。語弊を恐れずいうなら。

正確に言うと、メッセージ性みたいなものが直接的に過圧縮されたようなものが受け入れづらくなった気がします。じゃあラップが空っぽなのかというと、そんなことは全く思ってなくて、結局は「何をどう歌うか」に尽きると思うんですよね。それは下でちょいちょい触れます。

 

こういう年間ベストみたいなものをまとめる上で考えるのは、ぱっと20数曲の並びを見たときに、自分にとってその年がどんな年だったのか、どんな変化があったのかをわかるようなものにしたいということ。ずーっと同じような曲を聴いてるようになったらマジで終わりだと思うので、そしたらとっととこんな寒いこと辞めます。ずっとアンテナは尖らせときたいよね。

では、行きましょう!

 

 

くだらない / Hideyoshi

くだらない

くだらない

  • Hideyoshi
  • ヒップホップ/ラップ
  • ¥250
  • provided courtesy of iTunes

何も言わないことって全て言うことと同じことだと思う。いくら綺麗な言葉をたくさん紡いだってこういう言葉の前ではすべて霞んでしまうんだと心底思わされた。1ヴァース目の《道端に酔いつぶれた社会人/電車が遅れてくる月曜日/テレビでは誰かがまた浮気/全部くだらない》だけでもうすべてを語ってる気がしませんか?《ギリギリの生活費/どうせなら贅沢に》とかもう今年ベストライム。アルバムはもっとバリエーションが増えたら面白いけど、兎にも角にも今年はこの1曲だけでもいいと思えるくらいこの曲にすべてが詰まってたと思う。

 

Dream Chaser / kZm (feet. BIM)

Dream Chaser (feat. BIM)

Dream Chaser (feat. BIM)

  • kZm
  • ヒップホップ/ラップ
  • ¥250
  • provided courtesy of iTunes

《93,94で世界を変えよう》とかもうおれより年下やん!!!って思わず口から出てしまった。そりゃそうか。あんま書くことないわ。いやめっちゃ良いじゃん。

 

Changes / STUTS (feet. JJJ)

Changes (feat. JJJ)

Changes (feat. JJJ)

  • STUTS
  • ヒップホップ/ラップ
  • ¥250
  • provided courtesy of iTunes

KID FRESINO、JJJ、Febbというまぁ所謂天才が集まったらそりゃあうまくいくことばっかりじゃないって思ってた。もう二度と見れないんだろうとも思った。でもこんな形での終わりは想像してなかった。そういうことをどうしても考えてしまう。このMVを見ながらも。

フックの《風抜けてく手/乗せたはずの絵》の母音eの連打から《散って砂になってさっき舞った天》で促音でリズムを刻みつつ《ペン持ったRapper in the damn/このストーリーと息をして/千の感情意味を超え/また交差する思い出/解いて》でしっかり母音eを回収していくところとかもう震えるほど素晴らしい。

 

現実 Feelin’ on my mind / VaVa

現実 Feelin' on my mind

現実 Feelin' on my mind

  • VaVa
  • ヒップホップ/ラップ
  • ¥250
  • provided courtesy of iTunes

今年3枚のEPをリリースしたVaVa君こそ日本のヒップホップの一番の立役者の一人だったんじゃないかと思います。しかも全て良いっていうね。結局自分でかっけートラック作ってかっけーラップ乗せられるラッパーが一番なんだよねえ。実際tofuさん主催のハードオフビーツはVaVaくんが作ったやつが最高でした。この曲とかChance the Rapperにも通じるようなチャーチなトラックをMotherのサンプリングから作り出すとか天才かよ。ずっと朝のアラームにしてたけど嫌いにならなかった。

 

Kawasaki Drift / BAD HOP

Kawasaki Drift

Kawasaki Drift

  • BAD HOP
  • ヒップホップ/ラップ
  • ¥250
  • provided courtesy of iTunes

日本のヒップホップの立役者みたいな話が出ましたが、確実に彼らもその一人でしょう。武道館の2階席から見た景色は本当に最高だった。後にも話すけど、2018年はケンドリックラマー、チャンスザラッパー 、ポストマローン、アンダーソンパックという重要どころのライブを全て観れた幸運な年だったんだけど、リリックを歌えるってことがヒップホップのライブにおいて如何に大事かということが彼らのライブを見て思った。まじで東京ドーム埋めてください。

 

RIVER / tofubeats

RIVER

RIVER

  • provided courtesy of iTunes

RUNも超絶良かったけど、何年後も聴き続けるんだろうなぁと思ったのはこっちでした。映画の後に流れる曲としてはちょっと詩が映画に寄りすぎてる気がしたけど、そうは言ってもむちゃくちゃ良く出来てる。こういう日本的な普通の名曲が作れちゃうのがtofuさんの凄いところ。ブックレットで参照されている藤岡換太郎著「川はどうしてできるのか」読んでます。面白い。

 

Let Me Know / KEIJU

Let Me Know

Let Me Know

  • KEIJU
  • ヒップホップ/ラップ
  • ¥250
  • provided courtesy of iTunes

会社に景樹っていう名前の人がいて、KEIJUじゃん!いいなー!と思いました。かっこいいよね。《HaterがJealous cuz I'm いい感じ/それでもDo my thing 気にしないよ/みんな踊らす曲作るスタジオ》の部分とかこんな気持ちいいフロウあんのかよ〜と毎回思ってしまう。

 

アルペジオ(きっと魔法のトンネルの先) / 小沢健二

さて、では日本のヒップホップ以外のタームです。腐ったようなバンドがありふれた内容をありふれたメロディで歌ってる間にラッパーは誰も歌ったことがないことを誰もしてないフロウでどんどんやってるんだからそりゃ差が開くだろと思ってるのだけど、それでもバンドにしかできないこと、ポップスにしかできないことをやっていたものだけ選びました。

とかいう前置きで小沢健二に触れるとか、あまりに馬鹿馬鹿しすぎるほど、この曲はド級の名曲なんですけど。先行で歌詞だけ公開されたとき、あ。この曲聴くまでは絶対死なないな。と思わされたけど、曲も異常だった。映画「リバーズ・エッジ」が2時間かけて描ききれなかったことがこの曲の3分半には詰まっている,なんなら《下北沢珉亭 ご飯が炊かれ麺が茹でられる永遠/シェルター 出番を待つ若い詩人たちがリハーサルを終えて出てくる》のラインに。あと、この曲カラオケで2人で歌って被せ合うとめっちゃ楽しいです。

 

その線は水平線 / くるり

 

変なくるりも好きだけど、こういうくるりを自分は待ってたんだろうなぁと思う。超名曲。「坩堝の電圧」のツアー前後くらいでライブでやってて曲名だけ見かけてた覚えがあったので、このタイミングなんだ!と古い記憶が呼び起こされた。音楽理論的なことはよくわかんないけど、サビの《飛び込んでしまえよ》のあとのオオオゥ(文字にすると馬鹿っぽい)のところのコード進行がむっちゃ気持ちいい。

 

魚の骨 鳥の羽根 / cero

魚の骨 鳥の羽根

魚の骨 鳥の羽根

  • provided courtesy of iTunes

さすがのceroですよね。こんなの聞いたことないもん。正直ライブで聞いた時とか、アルバムを最初聞いた時とかもう良いとか悪いとかもよくわかんなかった。ライブで3回くらい見るとリズムが体に馴染んできてむちゃくちゃ快感。この曲は3拍子と4拍子のポリリズムなのでどっちで乗っても気持ちよくて、途中でズレた感じになるのがちょっと怖くなるのだけど我慢して乗ってるとどっかで辻褄があってまた戻れるところが快感ポイントです。3と4なら12で合うし、4と7なら28で合う。違うリズムで生きてる誰かともどこかで重なる瞬間がある、ってそれこそまさに「Poly Life,Multi Soul」じゃないですか。

 

BODY ODD / GEZAN (feet. Campanella. OMSB, Loss, Shuto & Hamaji)

バンドってこういうことだよなぁと心底思った。パンクとヒップホップの精神性ってとても近いようで確実に違うものだと思うのだけど、その上でジャンルの融合が完璧に出来てると思った。ヒップホップがリアルをラップするならパンクやロックはもっとアーティスティックというか、クソな現実に対してそうじゃないものを空想したり創造したりすることを続けていく音楽だと思っていて、その役割を全うしていたのがこの曲だと思う。《今想像力が世界を撃ち抜くところ》と歌うように。ブリッジのコード進行からのマヒトのパートが涙が出るほど綺麗で、そこからのOMSBのラップが超かっこいい。

 

再放送 / Klan Aileen

再放送

再放送

  • provided courtesy of iTunes

反復からの狂気。ミニマルなようでいて超ダイナミック。呪詛のようでいて荘厳。それってオウガにもゆらゆら帝国にも出来なかったことな気がする。うわ〜〜時代動いてんなぁ〜と思った。D.A.N.ももちろんかっこいいけど、だったらもっと彼らが騒がれていいと思う。

 

This Is America / Childish Gambino

This Is America

This Is America

  • Childish Gambino
  • ヒップホップ/ラップ
  • ¥250
  • provided courtesy of iTunes

まぁこの曲を語らずして、的な感じですよね。リリックやMVに関する考察的な部分は優れた記事がいくつもあるので調べてみてください。個人的にはアジカンのゴッチの意訳がとてもすんなり入ってきてよかった。叶わぬ願いかもしれないけど日本来てくれ〜〜!

 

All The Stars / Kendrick Lamar,SZA

All The Stars

All The Stars

  • Kendrick Lamar, SZA
  • ヒップホップ/ラップ
  • ¥250
  • provided courtesy of iTunes

フジロックで合唱したくてSZAのフックを覚えて行ったけど難しかったな〜〜。でもライブverのバンドアレンジされたこの曲がむちゃくちゃカッコよかった。エモいアウトロとiPhoneの光jがAll the Starsってこういうことだねって言ってるようだった。(若干適当になってきてる)

 

 65th & Ingleside / Chance The Rapper

65th & Ingleside

65th & Ingleside

  • チャンス・ザ・ラッパー
  • ヒップホップ/ラップ
  •  
  • provided courtesy of iTunes

Chance the Rapperのライブはもうなんか祈りみたいだったな。曲が聖歌的だからとかそういう理由も多分にあるとは思うけど、チャノの人間性ひとつ取っても、クレバーで決して何かを傷つけて何かを得るような人じゃない気がするし、あとはなんか顔が良いよね。彼の顔を見てるとなんか泣きそうになる。発表された新曲群の中ではこれが一番好きでした。

 

Let It Go / 88rising (Higher Brothers, BlocBoy JB)

 

Let It Go

Let It Go

  • 88rising, Higher Brothers & BlocBoy JB
  • ヒップホップ/ラップ
  • ¥250
  • provided courtesy of iTunes

もうラップにおいてはフロウが気持ちよければ言語とかなんでもいいんだなぁと思わされた。ハングルも英語も自分の耳には同じように気持ちよく入ってくる。日本語もそうなれるかな?Midsummer Madnessも良かったけどこの曲の勢いにやられました。1月の来日公演はまさかのJojiがキャンセルで代わりにKOHH出演とのこと。なんやそれ!

 

Kids See Ghosts / Kids See Ghosts (feet. Yasiin Bey) 

Kids See Ghosts (feat. Yasiin Bey)

Kids See Ghosts (feat. Yasiin Bey)

  • KIDS SEE GHOSTS
  • ヒップホップ/ラップ
  • ¥250
  • provided courtesy of iTunes

カニエ製7曲入りアルバムというフォーマットが今年中盤にどっとリリースされて話題になったけど、自分はあれすごい好きだったな。聞きやすいし、ストーリーもあって。でもその中では圧倒的にこのアルバムがずば抜けてました。一曲目のBlah Blahラッシュが終わったあとのシンセの音が聞こえた瞬間、「ありがとう…カニエ…!」と思っちゃったもんね。また鬱ってツイートしまくってるカニエさんですけど、爆買いついでにライブしてくれませんかね…

 

Back To You / Selena Gomez

Back to You

Back to You

  • セレーナ・ゴメス
  • ポップ
  • ¥250
  • provided courtesy of iTunes

Netflixドラマ「13の理由 シーズン2」より。ドラマはシーズン1に比べててんでダメだったけどこの曲はむちゃくちゃよかった。EDM的な展開しながらもリフが変なリズムなのと曲全体がうっすら悲しいのがいい。

 

Moon River / Frank Ocean

Moon River

Moon River

  • フランク・オーシャン
  • ポップ
  • ¥250
  • provided courtesy of iTunes

まぁフランクオーシャン先生はねぇ。もう言うことないよねえ。イントロの一音での説得力があるよね。「君の名前で僕を呼んで」とセットでどうぞ。

 

Everybody Wants To Be Famous / Superorganism

まぁ2018年ベストニューフェイスでしょうね。実際フジロックで見たライブもむちゃくちゃカッコよかったしお客さんパンパンだったし。絶妙な一発屋感もわかるけど、それを含めたとしても今すぐに触れたくなる魅力が彼らにはあるし、そうならないクレバーさもあると思う。なんつーか10年代後半をギュっと濃縮して擬人化したようなグループだよね。

 

Falling Down / Lil Peep & XXXTENTACION

Falling Down

Falling Down

  • Lil Peep & XXXTENTACION
  • ヒップホップ/ラップ
  •  
  • provided courtesy of iTunes

惜しくも今年この世を去った2人。もう。なに死んでんねん。そういう刹那的なところが魅力的ではあったのだけどさ。2人がこの世を去った後に未リリース音源として世に出たこの曲だけど、彼らが今までやってきたことを考えると、こんな優しい曲作れるのか…と思わず涙してしまったよ。

 

今夜だけ / 卓球と旅人

今夜だけ

今夜だけ

  • 卓球と旅人
  • エレクトロニック
  • ¥250
  • provided courtesy of iTunes

Netflix「Devilman:crybaby」より。全体を通して主題歌は特にありませんが、第9話のみ終了後にこの曲が流れます。その9話の内容があまりに凄まじくてさぁ。鬱展開の映画とかよく見てたけど、今まで見たどんなものよりも精神的にきつかった。そんなラストシーンの後に流れるこの曲がまさにデビルマンのすべてを音楽にしているみたいだった。旅人のフォーク的なギターの音と卓球の電子音が人間と悪魔の二面性をうんたらかんたら。それが曲の最後でどうなるか。聞いてみて。

 

Blue Hour / Homecomings

Blue Hour

Blue Hour

  • Homecomings
  • ロック
  • ¥250
  • provided courtesy of iTunes

夜の曲がとても好きです。「ペンキをこぼしたみたいな夜が」という声が耳に入ってきた瞬間、こういう曲を待ってた!!!と叫びたくなった。この曲には夜の魔法的な魅力とか、反する孤独の寂しさのどちらも閉じ込められてる。ホムカミの日本語詩、すごいいいと思う。ユーミン的なメロがより際立ってくるし、その分英語詩が映えるようになったよね。

 

話がしたいよ / BUMP OF CHICKEN

話がしたいよ

話がしたいよ

  • provided courtesy of iTunes

こういう年間ベスト的なものからBUMPってどうしても外してしまいがちなんですよね。それは、思い入れを含んだ物差しでしか自分が見れないからだし、然程新しさを感じなくたって良いと感じてしまうからだし。でもそういうことを抜きにしたってこれは凄まじい曲でしょう。作詞家として藤原基央のキャリアハイだと思う。まず、曲中の君の器の広さ。友人でも恋人でも家族でも、生きている人でも、もういない人でも曲が成り立ってしまうポップソング(大衆性として)としての優秀さ。「街が立てる生活の音/自分の呼吸の音」「往復する信号機/底の抜けた空」「君の苦手だった味」「夏の終わる匂い」「肌を撫でた今の風」と五感をフルに使って誰かを想うこと。特筆すべきはこのライン。

抗いようもなく忘れながら生きているよ

ねぇ一体どんな言葉に僕ら出会ってたんだろう

鼻で愛想笑い  綺麗事

夏の終わる匂い

まだ覚えてるよ

話がしたいよ

一行目はまさしく藤原基央的な、どれだけ想っていたって進む日々から零れ落ちる記憶、限界を歌う。

二行目、これふたつの意味で取れると思ってて。①(あのとき)一体どんな言葉に僕ら出会ってたんだろう。っていう過去に君と交わした(もしくは言おうとしたけど言えなかった)言葉についてなのか。もしくは、②(今も君がいたら)一体どんな言葉に僕ら出会ってたんだろう。っていう、叶わなかった未来を想像したことなのか。どっちにしてもそれだけで仕事中に涙ぐんでますよ僕はこんなこと考えて。

三行目、これだけ誰かを想っていても、思い出す肝心な君は「愛想笑い」と「綺麗事」なんですよ???笑顔や泣き顔でも、本音でもなく!!!でもそういう人間の矛盾ってあるじゃないですか。なぜか覚えてるのってそういうことだったりするよね。

そういう矛盾と、それでも今確かに君のそれを覚えていると確かめた上でのラストの「話がしたいよ」ですからね。しかもファルセットですからね。

その後のシークエンスに関しては、誰と誰のやりとりなのか、まぁこうじゃないかなぁっていうのが自分の中ではあるけど、みんなのも聞かせて!自分は「魔法の料理」「涙のふるさと」的な手法かなぁと思ってます。長いわ!

 

今夜このまま / あいみょん

今夜このまま

今夜このまま

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2017年が米津玄師の年だったとしたら、2018年は間違いなくあいみょんの年だったでしょう。今年リリースしたシングル「満月の夜に」「マリーゴールド」「今夜このまま」どれもベストだったけどまぁこれかなぁ。それを言わずにそれを歌うってことにあいみょんは長けてますよね。「満月の夜に」もそうだし、この曲に関しても「あれ」について歌いながら、そこに留まらずに広がっていくのがいい。み幸せの横棒ひとつ」ってなんだろうね。