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anomeno

神様の気まぐれなその御手に掬いあげられて

えいがのはなし その6

movie

 

上半期もあっという間に終わりましたね。なかなか記事更新のページが上がらないので申し訳程度にまとめ記事ということにします。

 

 ■葛城事件 (2016)

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家とは、家族とは、団欒とは、食卓とは。そして、罪とは。罰とは。

食の描写もさることながら、前作「その夜の侍」の中でも述べられた「なんてことない会話」が致命的に欠落した様子がなにより痛かった。そして、それをほんの一瞬、ほんの一瞬だけど取り戻しかけるシーンの切なさが尋常でない。

ヒメアノ〜ル」という壁を易々と飛び越えてしまうようなとんでもない映画が出てきてしまった。もうお手上げ。

 

 

 

スティーブ・ジョブス (2016)

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物凄く情報量が多い、のに極めてミニマルミュージック的な不思議な映画だった。繰り返しの中に見る、彼の心を凝り固めてしまったもの、そして彼の心を溶かしたもの、最後まで彼の心を燃やし続けたものとは。

カットバックがとにかく秀逸。特にラストのジョブズを見つめるウォズの眼差しと共に挿しこまれるあれはもう。ね。

 

 

 

■It Follows (2016)

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いや、ちょっとまって。これは猛烈に好きな映画だ。

まず怖い。真っ当に怖いホラー映画としても抜群なのに、この映画は紛れもない青春映画だし言ってしまえばボーイミーツガールでもあると思う。

絶対に逃げられない抗えない<It>が追ってくるとして、後ろを振り返って逃げ続けるしかないのか。
違う。人間なめんな!人生なめんな!つーか生をなめんな!的なラストが焼き付いて離れない。こんな角度からの人生賛歌見たことない。

 

 

 

■日本で一番悪い奴ら (2016)

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おおよそ想像しうる以上のことは起こらないのになぜここまで楽しいんだろう。
そう、楽しいということが驚き。「凶悪」にあったシリアスさはあるはあるのだけどところどころになりを潜めて、全体的に見ていて普通に笑えてしまう映画になっている。

それだけハイテンションなパートがあることでラスト30分ほどのエピローグが効く。とくにラストショットはもうどこに気持ちを持っていけば良いかのかもうわからないくらいかき乱される。

 

 

 

■クリーピー 偽りの隣人 (2016)

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物語の整合性を捨ててまでとことん気味の悪いショットを重ねていくところがなんとも清々しかった。前半のパッシブなヤバさがすごく好きだったので、後半の表立ったサイコさにはそこまでの衝撃を感じなかった。ネジの緩さを楽しむにしては致命的な脚本の穴もあったような気もする。

特筆すべきはやはり「窓」でしょう。窓の向こうの気味の悪い現実と窓のこちらの気味の悪い現実が混じり合う瞬間がとても心地いいようで心地悪かった。

 

 

 

デッドプール (2016)

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開始2秒の字幕だけで声出して笑ってしまった。絶賛する人が多かったから、今更メタヒーローなんて!って捻くれた目で見ちゃいそうだったのだけどそんな暇なかった。

でも、これ至極真っ当なヒーロー映画かつラブストーリーだ。容姿にコンプレックスがある男が女性に話しかけられなくて、それでもピンチには助けに行きたい!ってめっちゃ王道じゃん!

 

 

 

ちはやふる 下の句 (2016)

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何故好きなのか、という疑問に対する解答は「んなこと知らねぇよ!だって好きなんだもん!」に尽きると思う。そしてその好きなものに対する情熱って伝搬するんだね。握手、ハイタッチ、囲い手、札を渡す手、手、手、手。手を通して熱が伝搬していく。新から千早へ。千早から机くんへ。太一へ。詩暢ちゃんへ。そして新へ。手を使うかるたの特性がここにきてこんなにも活かされるとは。

正直粗は上の句よりも多いし序盤のげんなり感はすごかったのだけど、なんだろう。なんだろうね?たぶんね、好きなんだと思う。ラストでこちらに向かってくる千早の手を握ってしまったんだと思う。いやーでも泣くと思わなかったなー。それくらい詩暢ちゃんの「いつや。」の破壊力はすごかった。

 

 

 

ズートピア (2016)

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種の違いというマクロな差別と先入観というミクロな差別。どれも他人事ではない。
「差別はよくないよ」って口で言うことは簡単だ。それにそんなこと言われなくても、もうみんなきっとわかってる。なのに、世界を良くしたいと願う至極真っ当なジュディですら、知らず知らずのうちに種の間に線を引いてしまう。じゃあどうするのか。
その一つの解答となるジュディとニックの会話が行われる場所が橋の下というのがなんともニクイ。
頭のいい人たちがいっぱいあつまって、それでも頭を捻らせて、問題に真正面から向き合い逃げずに(これが一番大事)映画を作ると、きっとこんないい映画ができるんだろうな。

 

 

 

■野火 (2015)

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ようやく見れた。凄惨な戦場描写もさることながらラストの戦後のシーンが何よりもきつかった。「どうしようもなく、もうこちらには戻ってこれない人」を目の当たりにすることの遣る瀬無さ。絶望感。

思い当たる中でもアイアムアヒーローやヒメアノールと2016年の日本映画の容赦無いゴア描写は凄まじいのだけど、その火種は2015年のこの映画にあったのかもしれない。

 

 

 

グリーン・インフェルノ (2015)

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食人が孕む意味とかそういったことはひとまず置いておいたとしても、めっちゃ面白い映画だこれは。追い打ちで吹き矢を刺されたときの「そんな!」ってリアクションが等身大の台詞すぎて超笑えた。

というか、まともに貼れる画像がなさすぎるぞ!

 

 

 

残穢 住んではいけない部屋 (2015)

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久しぶりに見たことをちょっと後悔してしまうような恐怖を感じた。

ここでいう恐怖は、圧倒的な理不尽さと逃れられなさだ。なぜか突然身に降りかかり、どうしようともう逃れられない。唯一の方法は目をそらすこと、気づかないふりをすることくらいだろうか。そういう恐怖を描けている時点で、恐怖の正体や原因はどうだっていいんです。だからラストの怒涛の所謂ホラー的追い込みに関しては無い方がいいんだけど。でもそれはそれで逆に微笑ましかったけどね。

ほん呪の視聴者投稿ドキュメンタリーコーナーが好きならドンピシャでしょう。お分かりいただけただろうか。的な。

 

 

 

塔の上のラプンツェル (2010)

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自分の生きる道は、自分で決める。見たいものがあるなら、そこから一歩踏みだせ。

エモーションのピークは王子様と王女様の飛翔なんかではなく、川面から見上げた空に浮かぶ無数の灯。最高じゃないですか?

 

 

 

ビフォア・サンセット (2004)

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ここ最近で気づいたことがあって、自分は「もう戻れないあのときを思う」という要素が含んだ映画がどうやらとても好きらしい。そうなるともうこれはどストライク。セリーヌが話すような「小さな懐かしさ」に思いを馳せることのエモーショナルにやられる。

会話のおもしろさはもちろんあるのだけど、知らないふたりが今まさに出逢う、という瞬間を描いた1作目はやっぱりすごかった。もちろん今作は今作で、9年の穴を埋めるが如く繰り広げられる会話の面白さと、埋められない穴ならくぐり抜けてしまえ的な結末は良いんだけどね。