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神様の気まぐれなその御手に掬いあげられて

Mind Over Matter - 『いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう/第7話』

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書こう書こう、と思いつつも3月に入って色々と私事が立て込んでしまいもう約一週間が経ってしまった。最後の意地でなんとか月曜日までには書きたいという気持ちだけでなんとか今書いています。第7話、本当に素晴らしかったです。何度涙を流したことか。細部にわたる演出が冴え渡っていた。その一つ一つに触れるっていうのは、もう多くの人が素晴らしい記事を書いていて、どうしても後追いのようになってしまうので、一点に絞ってまとめたい。やはり「モノに宿る、記憶、想い、こころ」ということでしょう。

音という人間はモノに宿る想いを見逃したりしない。それはきっと音のお母さんがそうしてきたからなのだとも想像できる。彼女にとっての空き瓶は花を生ける立派な花瓶だし(あれについてのエピソード期待してます。もし既出であることを自分が忘れているだけだとしたら貶し尽くしてください)、目もかけられず捨てられてしまうようなレシートに、出会ったこともない人の生命を見出すことができる。練だってそうだ。赤いコーンはただの赤いコーンじゃない。それに触れた時に彼は自分の「引っ越し屋さん」の記憶を思い出したはずだ。忘れようとして何度も何度も殺したであろう想いは道端にあった。横断歩道にあった。そして、しまってきた棚の上の、箱の中にあった。この「モノに宿る想いと記憶」に関してどうしたって「海街diary」を思い起こさずにはいられなかった。

点在するモノに宿る記憶や想いは次第に彼を「引っ越し屋さん」に戻していく。あのマンガを青年に渡すために走り出した時、もう彼は「引っ越し屋さん」になっていた。

終盤、練が静恵さんの家に行くという流れはいささか切り替えが早すぎるという意見も目にした。わからなくもない。でも冒頭で静恵さんから音の手に鍵が渡されたことを思い出して欲しい。当初は練に受け取ることを拒まれてしまった鍵は形を変えて音から練に確かに手渡された。それならば練は扉を自らの手で開けなければならないと思う。何より先にそれをすべきだったと思う。そしてその後にやることももちろん決まっている。あのレシートに込められた想い<種>を受け取った練は、枯らしてしまった花を<再生>させる必要があるじゃないか。そして静恵さんの言葉によって

ぶどうの花はぶどうの味がする。

バナナの花はバナナの味がする。

がここで回収されるとは。もうお手上げです。