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神様の気まぐれなその御手に掬いあげられて

2014ベストアルバム

 
年末になるといつも年間ベストってくくりで15枚とか20枚をTwitterで一枚ずつ言葉を添えて投下していたりしたんですが、
 
ボキャブラリの無さが露呈してしまうこと
・分母が多くないのに20枚とか選ぶから思い入れに欠けるものまで選んでしまう(ベストとは)
・特に今年は2014年リリースの洋楽を驚くほど聴いていなかった
 
という理由から本当にたくさん、擦り切れるほど聴いたものだけを選んで2014年のベストアルバムということにします。これが自分にとって正しい形!
他にも選ばなかった良い曲がいっぱいあったのでベストソング20として前の記事にあげました。
 
これはどんなジャンルでどんなバックグラウンドがあって…みたいなのは書きたいけど書けないので、個人的な思い入れだけをつらつらと書きたいと思います。順不同です。
 
 
 
 
 
 
 
・AFTER HOURS/シャムキャッツ
AFTER HOURS

AFTER HOURS

 

 

ミツメ、Yogee New Wavesと所謂「TOKYO INDIE」とよばれる括り(最近知った、それまでは膝くらいのハーフパンツとキャップのイメージで括ってた)の中から今年はリリースが多くて、どれも良かったのだけど、個人的にはこのアルバムでシャムキャッツが頭一つ抜け出たように感じました。
一曲々々のキャラが立っているんだけど、どれにも共通しているのがダラッとした日常でそれが顕著に出てるのが「MODELS」
 
小躍りしたくなるようなベースラインが特に素晴らしい。
タモリがはしゃぎ下らなく午後が始まる頃」なんて歌詞をこの2014年に残してくれただけでも拍手をしたいです。
 
ビビビッとくるくらいのアルバムって初めて聴いたときの場所とか感じをよーく覚えてるもので、このアルバムは大学の暗室(光が入らない暗い部屋。薬品くさい)で一人で作業をしているときで。そんな場所とは真逆の景色が浮かぶような、午後の昼下がりから陽が落ちるまで、みたいなアルバムでした。
 
・Rhapsody in beauty/THE NOVEMBERS
Rhapsody in beauty

Rhapsody in beauty

 

 

「Forth Wall」〜「zeitgeist」と際立ってきた無機質で黒いポストロック・ポストパンクを飲み込むようなノイズ。
再生して一曲目「救世なき巣」の一音目、自分はこれを待っていたと思った。紛れもないノイズだけれど、耳に痛くなくて身体が震わされるような。
よく「マイブラを彷彿とさせる」ってワードを見かけたけれど、個人的にはこの音の感覚はSigur Ros寄りだなと思った。それで思い出したけどライブでボウイング奏法とかしたら面白そう。
とにかく全編通して(tu ‘mと最後の二曲を除いて)他の音を潰してしまうようなノイズが溢れているのだけど、(「救世なき巣」「Sturm und Drang」に関しては音にかき消されて歌がはっきり聞き取れない)もうそれがかっこいいからいいんだ!って清々しい振り切り方にとてもグッと来ました。
 
サカナクションの山口一郎さんが「音楽を聴く人それぞれの環境によって聴かれる音は変わってしまうから、いくら良い音にしようと思ってもあまり意味が無い。だったら自分の好きな音で届けようと思った。」というニュアンスのことをどこかで言っていてそれにすごくグッと来て、近いことをこのアルバムに感じて。どこかの誰かはこのアルバムのノイズをいらないものと認識するかもしれないけど、自分が美しい、かっこいいと思ったからその音が良い音なんだろうな。
 
もう「暗い雰囲気のギターロック」なんて野暮なイメージは遠くの彼方において、広いところに駆け出してるよ彼らは。
「そういうことさ 好きに生きるのは」
 


▲THE NOVEMBERS 「Romancé」- Normal Ver -▲ - YouTube

 


▲THE NOVEMBERS TOUR - Romancé - Special Web Live▲ - YouTube

 

 

 

 

 

ペーパークラフト/OGRE YOU ASSHOLE

 

「homely」、「100年後」につづく三部作の完結編という位置づけとなる傑作です。

ひたすらに反復するリズムとビートに対して溶けるようなメロウなメロディがのっかるというここ最近のオウガの趣向を最高水準まで高めたアルバムでした。ともすればペラペラで味気ない、ひっからない人には引っかからないのかもしれません。

でも、音から人が浮かばないから、感情がないからこそいつでも再生できるというか、聞き手の感情に左右されない音というのはすごいことだなと思います。だからこそ繰り返し繰り返し聞いてしまう。そしてそれに耐えられちゃう。

この三部作の間は決してオウガにとって楽な道のりではなかったと思うのだけど(勝手に)、そこからしっかりと自分たちの土壌をつくったというか、ぶれずにやりたいことだけやって信頼を勝ち取っていく姿はとてもかっこよかったと思います。そしてその感じをおくびにもださずにひょうひょうとやってのけるところが大好き。

昔のようになかなか何千人という人の前でやる機会が多くなくなってしまった彼らだけど(それでもフジロックのホワイトステージは素晴らしかった)、今こそ何千人、何万人の前で今の姿を見せつけてほしいと強く思います。

 


OGRE YOU ASSHOLE - ムダがないって素晴らしい - YouTube

 


OGRE YOU ASSHOLE - ロープ(Long ver.) @ りんご音楽祭2013 - YouTube

 

 

 

 

 

・RAY/BUMP OF CHICKEN

 

このアルバムのことを書こうとすると、「BUMP OF CHICKENとは」とか「彼らを取り巻く環境の変化」とか、果ては「自分のこれまで」とかとんでもないところまで話が飛躍してしまいそうなので、それはまた機会があれば。
とにかくこのアルバムについては「自分がこのアルバムをベストアルバムとして選べた」ということがものすごく大事なことだったのです。結局自分かいって感じだけど。
 
短くまとめると、当然のように中学生時代にバンプにド嵌りして、そこから割と熱を失って離れていく人が多い中で一時も欠かすことなく熱をそそいできた。つもり。でもそんな熱はあってもなかなか声を大にして「バンプが好き」と言うのは憚るというか、勝手で無意味な思い込みだけどそんなことを言うより「ちょっとマイナーなとこいっとけ、出来れば洋楽とか」という思いの方が強かったのですよ。実に目も当てられないね。
 
でもいつごろかな、ベストが出てスタジアムでのライブを見たくらいかな。
まず、ベストって!出すのかい!みたいな。ライブでなんか光るボール出てくるし!キラキラのテープ降ってくるし!みたいな。
でも何故だかそこに抵抗は無かったんだよね。確かに変わったけど、そもそも変わるって悪いのかな?と。こういうこと書き出すと取り留めもなくなるから早めにやめます。
 
とにかく自分たちが過去に作った制約を破って、そのままでいるために変わろうとする彼等を見て、いや、恥ずかしいとか思ってる場合じゃないぞ!ってくらいにここへきて急速に自分の中の好きの割合のきっと変わらない大部分をBUMP OF CHICKENが占めていきました。
所詮は、「開けようとしないから知らなかっただけ」なのですよ結局。
 
だから、ここでRAYというアルバムを2014年ベストアルバムにあげます。
自分にとってこれはすごく重要なことでした。
いやあ、ほんとに彼等は変わらないね。
 
・光の中に立っていてね/銀杏BOYZ
 
光のなかに立っていてね *通常仕様

光のなかに立っていてね *通常仕様

 

  

このアルバムも「RAY」に並ぶくらい重要な一枚でした。
銀杏BOYZの9年ぶりのアルバムですが、自分にとってはこの9年を待ちわびた訳でもなく、なんなら自分の中で「好き」の部類に入るものではありませんでした。これにももう目も当てられない勝手な思い込みによるものだけれど。
中学生の時にラジオで聴いた「あいどんわなだい」が出会いでそのときはなんかおもしろいくらい、他と違うくらいの印象でそこからぱたっと表立った活動がなくなって、自分も忘れていくんだけど。
高校でバンドやってるときかな、すごく好かない感じのそこそこ年食った、いや働けよってくらいの年齢のお兄さんたちが「銀河鉄道の夜」をコピーしていて、予定調和みたいに盛り上がる内輪のお客さんに無性に腹が立って仕方がなかった。そこからうるさいだけじゃんとか思ってしまうようになってね。(ここが悪いところ)
そこからは本当に耳に入ることがなかったんだけど、9年ぶりにアルバムが出る、しかもメンバーほとんど脱退、っていうニュースを見てなぜかとても興味がわいて、なんでそんなことになったんだろうとプログを見だしたり、少し前の「ボーイズオンザラン」のPVを見たり、そしてとどめのぽあだむでした。
 
長澤まさみが目に入らないくらいに、猛烈に感動して暗い部屋でベッドの中で「明日アルバムを買おう」とすぐに思ったのを覚えてます。
 
どうやらすごく賛否両論なアルバムなようで、その要因は過剰なノイズだったり既存曲の多さだったり薄れてしまったパンク感だったりするみたいだけども。
自分が9年前に熱を入れて聴いていなかったからこのアルバムを好きなのかもしれないし、というか全然そんな感じはするんだけど。
自分にとってこのアルバムは"銀杏BOYZ9年ぶりに復活のアルバム”ではなくて始まりのアルバムでした。
 
ちなみにこのアルバムにも「新訳 銀河鉄道の夜」という以前とはメロディと歌詞が一部変わった曲が入っているんだけど、ものすごく好きなんです。
すごくない?あれだけ嫌いだと思ってた曲をだよ?
「うっわー、音楽好きで良かった!」って思いでいっぱいになるよね。もう。




 


銀杏BOYZ - ぽあだむ (MV) - YouTube

 


銀杏BOYZ - ボーイズ・オン・ザ・ラン(PV) - YouTube




ということで、まとめとして2014年に触れた音楽によってかよらずか、いや、音楽による影響はかなり強いと思うんだけど。

「好きなものを好きだと言えるようになった」
「嫌いだったものも好きになれた」

ということが自分にとってとてつもなく大きなことでした。
当たり前のことなんだけどね。それができないくらいには見栄を張ってたし素直になれなかったのでしょう。

今だって好きなものもあれば嫌いなものもあるけれど、時間が経てば好きなものが多くなっていくかもしれないって考えたら、こんな幸せなことはないなと思います。
そんな風に思えたきっかけが音楽でよかったです。

それでは、良いお年を。
来年もぜひぜひよろしくお願いします。